NY出身の犬山市議会ビアンキ議長、「民主主義は守らないと簡単に消える」
議員同士の議論がないのは「おかしい」 ── 提案で「議員間討議」導入
── 「やりたいこと」とは? 14年前に議員になって、まず「おかしい」と思ったのは、議員同士の議論がなかったこと。他の議員の一般質問を聞いていても、なぜそういう質問をするのか、何を考えているのか分からない。議案質疑も一人の議員対行政のやり取りで終わってしまいます。 私が個別に他の議員に聞けばいいのではなくて、議員全員で共有するべきだと思いました。ある議員の一般質問について、みんなはどう思う?と投げかければ、各議員から意見は出るんです。それをとりまとめれば、議会としての提案ができます。このやり方を2011年に私が提案して、一般質問と本会議の議案質疑が終わった翌日に全員協議会を開き、議員同士が話し合う「議員間討議」という仕組みが導入されました。 ※議員間討議は2006年に北海道栗山町が議会基本条例の中で明文化し、その後全国440以上の自治体で導入されています(埼玉大学社会調査研究センター、2015年)。犬山市ではすべてインターネットで中継、録画も公開。今回の6月議会では、スポーツ施設などの予約システムの改善をただした議員の質問について、議長であるビアンキさんが他の議員の意見を求めました。市外の人も使用する施設で、犬山市内の団体の予約をどこまで優先すべきかという問題で、ビアンキさんの問題提起に対して数人の議員から意見が出ましたが、はっきりした結論には至りません。それでもビアンキさんは「何らかの改善が必要という意見では一致している」として、当局側に「改善を図るように」という趣旨の申し入れ書を議長名で出すことにしました。※ この問題では、各課によって対応が違うので、一般質問でも行政側の答弁ははっきりしていませんでした。でも、何か結論を出さないと先に進まない。行政の背中を押すような提案が必要です。それも議員の1人として出すより、議会の総意として出すと重みがぜんぜん違います。 地方議会では、ほとんどの議案は行政から提案されます。それに対して議会は「チェック機関だ」という意識にとらわれすぎて、市民目線で提案や修正をすることが足りませんでした。討議では毎回、結論が見つかるわけではありませんが、まず話し合う場がなければ可能性がありません。全議員が話し合って意見をまとめて、議会としてのポリシーを示すことが大事。そういうことはバンバンやるべきです。