NY出身の犬山市議会ビアンキ議長、「民主主義は守らないと簡単に消える」
かつて90%を超えていた市区町村議会選挙の投票率は、今や47%(2015年の統一地方選、総務省まとめ)。最も身近な選挙に有権者の半数以上が足を運ばない中で、議会や議員の質の低下が指摘されています。 日本の地方議会はどうなっていくのでしょうか。愛知県犬山市で14年前、初めて外国人出身の市議となったビアンキ・アンソニーさん(58)は今年、議長に選出されました。6月定例会で初の大役を務めたばかりのビアンキさんに、日本の地方議会の課題と可能性について聞きました。
9回裏の逆転ホームラン 僅差で議長になった
── 定例会での議長役を終えて、心境はいかがですか。 議長としては初めてだけれど、議員としては15年目。ちょっと違う席に座ったぐらいの気持ち(笑)。 実は最初、議長選挙では負けるかもしれないと予想されていました。しかし、結果的に10対9、棄権1の僅差で私に決まりました。9回裏の逆転ホームランみたいに嬉しかったけれど、そんなギリギリで決まったから、まずは安定した議会運営をしようと心がけました。 ※米ニューヨーク生まれのビアンキさんは、禅や空手などの日本文化に興味を持ち、1988年に初来日。愛知県内のホームステイ先に約2週間滞在し、翌年あらためて外国語指導助手として愛知県へ。県内各地の学校で英語を教え、人口7.5万人の城下町、犬山市に定住します。しかし、英語教育に携わる中で行政への疑問を感じ、政治家への転身を決意。日本国籍を取得し、2003年の市議選に初挑戦して、見事トップ当選を果たしました。「前例より前進」をモットーに、地方議会の改革を訴えています。※ 議長は中立な立場だけれど、うまく議論を促さなければならない。自分の意見を押し付けずに、活発な議論ができる雰囲気づくりをする。そんなファシリテート役に徹して、今回は無事、終えることができました。皆さんには安心してもらえたようで、まずは有意義な第一歩。でも、これから徐々に自分のやりたいことをしていきたい。