男子１０００メートルを国内最高記録で制した新濱立也

◆スピードスケート◇全日本距離別選手権　最終日（２７日、長野市エムウェーブ） 　男子１０００メートルは新濱立也（高崎健康福祉大職）が１分８秒３３で優勝した。従来の国内最高記録、リンク記録を０秒０２塗り替え、２５日の５００メートルと２冠を達成した。 　新濱はタイムを確認すると、右手人差し指を天に掲げ、喜びを爆発させた。２組前に日本記録保持者の野々村太陽（博慈会）が１分８秒６９の好タイムをマーク。一方で自身はけが明けの状況を踏まえ「（年内Ｗ杯の５枠の）代表権というところを第一に考えた。（１分）９秒０を出せれば今日は十分」と、現実的な目標を設定してスタートラインに立っていた。 　課題のスタートを丁寧に入ったことでミスなく加速し、２００メートルから６００メートルを２５秒０７で飛ばした。長島圭一郎コーチが示したラップ板を見て「野々村選手に勝てるチャンスがあるんじゃないかと一瞬で感じ取れた」。最後の１周を粘って１分８秒３３をたたき出し「まさかリンクレコードにいくとは思っていなかった。正直、ゴールしてびっくりした」と目を丸くした。 　３月にドイツで練習中に転倒し、腰椎を骨折した。夏までリハビリや別メニュー調整が続いた。基礎練習や体幹トレーニングに注力せざるを得なかったが、その結果、滑りが安定。筋力の低下など不安を抱えて迎えた開幕戦で５００メートルと２冠に輝き「復帰戦でここまで好スタートを切れるとは、３月の自分ではまず考えられなかった。そこからコツコツ苦しい時期を乗り越えて、やっとここまで戻ってくることができて、一安心している」と感慨に浸った。 　２６年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンを最高の形で滑り出したが、不安は消えてはいない。夏までに陸上トレーニングを積めていないなど、例年と違う流れで１０月を迎えており「どんなシーズンになるか未知。どこまで体が持つのか」。それでも、１１月から始まる国際大会へ「ケガ明けで日本のトップに戻ってくることができたと証明できた。次は世界のトップにどこまで食い込めるかというところに挑戦していきたい」と意気込んだ。