2017年はジャズ誕生100周年? そもそもジャズが何故ジャズになったのか
「ジャズって大人なイメージ。聴いてみたいけど、どこから入門したらいいのかわかりません。何か解説を書いていただけませんか?」と音楽評論家の青木和富さんに相談したところ、「そんなのは面白くないよ~。音楽ってさ、堅苦しく考えなくていいんだよ」と東京・下町(=門前仲町)出身のフレンドリーなお答えで企画はいともたやすくに変更になってしまいました。 そういうわけでこのコラムでは、青木さんが“自由気ままに”ジャズにまつわるお話をお届けします。ライブ感あふれる軽やかな筆致で、余談もポンポン飛び出します。「へぇ~」と思うことが見つかればラッキーです。これからジャズを聴いてみたい方、すでに聴き込んでいる方、ジャンルを問わず音楽が好きな方に楽しんでいただけたらと思います。初回は「一般的なイメージとはちょっと違うジャズの起源」について語ります。※毎週土曜日更新予定。
「2017年はジャズ誕生の記念年」ってどういうこと?
今年2017年は、ジャズが生まれて100年の記念の年だという。昨年この話を聞いたとき、一体全体これは何のことだと驚いた。モノゴトの起源というのは大概曖昧で、いつともなく始まり、いつしか当たり前のようになり、いつの間にかその世界が確固たるものになる。 ジャズの起源は、百科事典などで調べると、19世紀末から20世紀初頭に米国・ルイジアナ州のニューオリンズで生まれたなどと書かれている。ついでにシンコペーションとか即興とか音楽的な説明があったりするが、これはあまり重要ではない。余談だが(このコラムは突然余談に走ることがあるけど、悪しからず。)、昔、ジャズの特徴は「即興演奏があること」と解説されることが多かった。そこがクラシックとかその他の音楽とは違うスゴイところなのだと言いたいのだろうが、厳密言えばこれは正しくない。クラシックも昔は即興演奏が当たり前に存在したし、民族音楽の世界では、むしろみんな即興音楽なのだと言ってもいいかもしれない。たとえ譜面があろうとなかろうと、演奏は、結局は演奏者の思い付きのようなものに委ねられる。ときにそれが音楽のすべてなのだと言いたくなることがある。 季節柄盆踊りの催しが各地で開かれいるけど、あの太鼓の響きを聴くと、打ち手の上手い下手だけではなく、その世代までもが分かってしまうことがある。生きてきた時代によって、人のリズム感も違ったものになってしまうからだ。これはあくまで勝手な想像なのだが、ロックなどという西洋の野蛮な音楽が入ってくるまでは、村の太鼓の響きは、リズムというより歌のように心情に則した響きがあったのではないだろうか。それが西洋的なリズムが体内に入り込んでからは、若い衆たちが叩く太鼓にはリズムの身体性が前に押し出され、スピードが増し、手数も増し、全体的に鮮やかなリズムの意匠が新たな音楽の高揚感を生み出したように思う。