10月から「マイナンバー」送付開始 DV被害者が抱く不安
赤ちゃんからお年寄りまで全国民に番号をつける「マイナンバー制度」は、10月から番号の通知が始まる。2016年1月からの運用スタートに向け、すべての国民に対し、住民票のある住所あてに「通知カード」が届く見通しだ。 危険? 便利? 「マイナンバー制度」の是非 しかし、配偶者や恋人の暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)から逃れ、住民票とは異なる住所で暮らすDV被害者らは少なくない。マイナンバーは、社会保障手続きや納税といった社会生活に必要不可欠な個人情報。こうした人たちにとって、マイナンバーへの対応は大きな悩みの種となっている。
住民票と異なる場所で受け取り可能
マイナンバー制度とは、所得や年金支給額、住民登録のほか、雇用保険、医療保険の手続き、生活保護、児童手当といった福祉の給付など、これまで別々に管理されていた個人情報について、国がすべてひもづけて一元管理できるようにするもの。国民一人ひとりに割り振られるマイナンバーは12ケタで、原則として一生変えられない。 「マイナンバー制度のCMを目にするたび、恐怖と不安でいっぱい」。そんな思いを、少なからぬDV被害者が抱いている。加害者から見つけられないように、住民票をそのままにして逃げ出した。その場合、マイナンバーの通知カードが住民票の住所地に送られてしまうと、DVの加害者が受け取ってしまう恐れがあるのだ。 こうしたことから、総務省では、住民票の住所地でマイナンバーの通知カードを受け取れない人に対して、救済に乗り出した。通知カードの送付より前に、「居所情報」の登録をしておけば、住民票とは異なる住所に送付してもらえる、という措置だ。 同省サイトによると、手続きをするには、まず「通知カードの送付先に係る居所登録申請書」を、近くの役所か総務省サイトから入手する。これに氏名、居所、やむを得ない理由といった情報を記入する。この書類を、住民票のある市区町村の役所に、郵送するか持参して届ける。その際、申請者の本人確認書類(運転免許証、顔写真付きの住民基本台帳カードなど)と、公共料金の領収書など、居住していることを証明する書類が必要だ。 ただ、その居所登録の受け付け期間は、今年8月24日から始まったものの、9月25日まで(持参か必着)と、わずか1か月しかない。