10月から「マイナンバー」送付開始 DV被害者が抱く不安
転入先で「DV等支援措置」の申し出も
日本大通り法律事務所(横浜市)の喜多英博弁護士は「諸外国でもマイナンバーと類似の制度を悪用するケースが報告されています。このため、通知カード自体を届かないようにするために、今回の措置があるわけですが、その割には、手続期間も短いですね」と懸念する。 この居所登録をする以外にも道はある。住民票を実際に移してしまい、その際に転入した市区町村に「DV等支援措置」を申し出ることで、マイナンバーを新しい住所で受け取りつつ、新しい住所をDVの加害者に知られないようにできる、というものだ。 しかし、ネットではDV被害者が「役所の職員の方のように犯罪被害者への接し方の訓練や教育を受けていない人に、被害の経緯をお話しすることは、被害者にとっては大変な苦痛」と嘆く声もみられる。 前出の喜多弁護士は「役所への届け出は、手続ができる人であることが大前提になっています。そして多くの人が、そういう被害者に対して『手続しないのが悪い』といった扱いをしがちです。被害者に障がいがあるようなケースもありますし、『自分ならできるからみんなできるはず』ということではなく、本当に被害者の立場に立った現場の対応を期待したいですね」と、きめ細かな対応の必要性を指摘している。 (記者・メディアコンサルタント/坂本宗之祐)