中上貴晶選手、エンジンの故障など困難に見舞われるも決勝のペースについては前向き【MotoGP第17戦オーストラリアGP】
相次ぐトラブル、「もったいないレース」に
MotoGP第17戦オーストラリアGPが行なわれるフィリップ・アイランド・サーキットは、高速コーナーが連続するサーキットです。中上貴晶選手(イデミツ・ホンダLCR)が得意とするサーキットであり、また、インドネシアGPで投入された新しい空力デバイスは、特に高速コーナーでの旋回性向上を狙ったもの。この空力デバイスが投入されて以降、中上選手を含めた4名のホンダライダーは、少しずつリザルトが上向きになっていました。 【画像】2024年シーズンのMotoGPクラスに臨む中上選手を見る(6枚)
ただ、特に金曜日と土曜日の天候は不順でした。フィリップ・アイランド・サーキットにとっては珍しくもない天候ではあるのですが、雨や風に翻弄されることになったのです。 金曜日午前中のフリープラクティス1については、雨により約2時間待機の後、結局中止となりました。その30分ほど後に行なわれたMoto3クラスのプラクティス1が始まるころには、空が明るくなり、セッション中には陽光が差します。 午後のプラクティスでは路面状況が回復し、スリックタイヤで走行することができましたが、「喜べるフィーリングではなかった」と、中上選手は言います。サーキットは今年に向けて路面が再舗装されたのですが、バイクがバンプを拾ってしまうと言うのです。 「コーナーの旋回中、立ち上がりから次のコーナーに入っていくときも常にバイクがギャップを拾ってしまって、不安定なんです。攻められないし、バイクが思い通りの動きをしない。苦戦していますね。再舗装されたらグリップが上がって、ギャップもなくなって走りやすくなるのが普通です。それを期待していたんですが、乗ってみたらイメージとは真逆でした」
これは中上選手ばかりではなく、データを比較するとホンダのライダー4名に見られる傾向とのことです。 土曜日のスプリントレース後にジョアン・ミル選手(レプソル・ホンダ・チーム)に話を聞くと、やはり同じ症状を抱えていると語っていました。 「コーナーに入っていくときにバイクが振られ始めるんだ。そしてブレーキをかけると、ちょっと収まる。でも、スロットルを開けるとまたそれが出てくる……(苦笑)。今日はそれが僕を最も悩ませたよ」 さらに、ホンダのライダーには不利な点がありました。中上選手によれば、最終コーナーでリアのライドハイトデバイスが使えないと言うのです。 現在のMotoGPマシンは、ライドハイトデバイス(車高調整装置)を備えており、例えばフィリップ・アイランド・サーキットの最終コーナーの立ち上がりでもそれを使用して車高を低く沈めて立ち上がります。ホンダ以外のメーカーはそのようにして走っています。 この装置はブレーキングによって解除されるのですが、今回、ホンダのマシンは1コーナーでライドハイトデバイスを解除しきれず、このために最終コーナー立ち上がりで使えないという状況でした。 「フロントのストロークが少ないために、1コーナーでちゃんと戻らないんですよ。他社は使えるのに、僕たち4台だけ使えていないんです。ストレートはデバイスありきで走っているし、エアロもそれで考えられています。車高が高いからストレートでも不安定だし、とても乗りづらいです」