たき火で湯を沸かし 周りで優雅に 寒さ厳しい集落で伝統の祭り
長野県下伊那郡の天龍村神原(かみはら)の向方(むかがた)集落に伝わる湯立て神楽「向方のお潔(きよ)め祭り」が3日、天照大神社であった。祭りは、神原地区の3集落に残る国重要無形民俗文化財「天龍村の霜月神楽」の一つ。寒さが厳しい県境近くの集落で、住民らは鈴や扇子、剣を手に優雅に踊り、集落の繁栄や無病息災を願った。 【写真】住民も村外者も入れ替わりに舞う 祭りは午後4時ごろから始まり、舞堂中央に据えた湯釜の周りで住民や村外の有志ら約20人が次々に舞を披露。午後7時前からは10、20代の若手が色紙で飾ったかぶり物を付けて舞う「花のやうとめの舞」を踊った。 天龍小学校5年の橋爪憂(ゆう)さん(10)は「振り付けが多く難しかったが、だんだん速くなっても楽しく踊れた」。祭りの芸能部長を務める村松久一(きゅういち)さん(75)=飯田市=も「高齢の仲間が相次ぎ亡くなる中で、無事に開催できてうれしい。地域の文化を今後も引き継いでいけたらいい」と話した。 村内に伝わる霜月神楽は、4日に坂部地区で「坂部の冬祭り」が、5日に大河内地区で「大河内の池大神社例祭」がそれぞれ披露される。