韓国で存分に持ち味を発揮するKBスターズの永田萌絵…「これまでの苦い経験が今生きている」
スピードを主体としたスタイルにフィット
昨シーズン、KBはWNBAでのプレー経験もある198センチのパク・ジスを擁してレギュラーシーズンを優勝。プレーオフではファイナルで敗れて最終順位は準優勝となったものの、高さを起点に強さを誇った。しかし、今シーズンはパク・ジスがトルコリーグのガラタサライへ移籍したこともあり、一転、登録選手の平均身長では全6チームの中で一番低いチームとなった。 そのため、「KB自体が小さいチームなのでスピードと早い展開のバスケットをしていかないといけない」(永田)と、今シーズンはスピードを全面に出したスタイルで勝負している。それが「自分のスタイルに合ったチームに加入できたかなと思います」と、機動力を武器とする永田にとってはピタリとハマったともいえるだろう。 加えて、「韓国はセットプレーが多く、トランジションでは日本の方が早いかなと思っているので、逆に自分のスピードを生かして相手の隙をつくなど、そういったプレーが出せてきているのだと思います」とも明かしてくれた。 永田は、東京医療保健大学で下級生のころから主軸を担い、キャプテンを務めた4年生のときにはインカレ3連覇を達成。同大会のMVPには2度輝いた。また、大学時代から名を連ねていた3x3女子日本代表でも世界大会で優勝など国際大会でも好成績を残している。そして大学卒業後はトヨタ自動車アンテロープスへ入団。2シーズン在籍した後にデンソーアイリスへと移籍した。 しかし、トヨタ自動車、そして2シーズンを過ごしたデンソーでは納得のいくプレーとまではいかず。昨シーズンもレギュラーシーズンでの1試合平均の出場時間は7分にとどまった。だからこそ、プレータイムを大きく伸ばし、“らしさ”を出せている今は、やりがいや楽しさを感じているのだろう。 だが永田は、「Wリーグで4年間、ずっとベンチから出るタイプのプレーヤーだったのですが、その苦い経験が今生きてるのかなと思います」と、力強く発する。「それまでの頑張りがいつ結果に出るかは分からないけれど、しっかり毎日やり続けることが大事なのかなと思います」という言葉には、もがきながらも前へと進むことを止めなかった彼女の努力を感じさせた。 辛い時期があっても決してそれは無駄ではない。そうした様々な経験を経て「今は思いっきり楽しもうというマインドに切り替えられています」と、永田は言う。そんな彼女の活躍を待っていた日本のファンは多いだろう。 水を得た魚のようにアグレッシブなプレーを披露する永田。 「試合を重ねるごとに相手チームも私に対してアジャストしてくると思うので、そこでどうクリエイトできるかが、また一つ自分が成長する要因かなと思っています。しっかりそのときにできることを探しながらやり続けていきたいです」と語るKBの新戦力は、現状に浮かれることなく、しっかりと前を見据えていた。 文・写真=田島早苗
BASKETBALL KING