仕事や人間関係で「引きずらない」ための“思考法” 禅僧・枡野俊明さん「たくましく生きるヒント」
怒り、焦り、嫉妬、不安、後悔……マイナス感情というのは、自然と湧いてくるものであり、それを止めることはできない。けれどもその感情をいつまでも「引きずる」のはよくない――。 新著『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力』では、禅僧であり、世界的な庭園デザイナーであり、ベストセラー作家でもある枡野俊明さんが、禅には「引きずらない力」を磨き、日々を明るく、たくましく生きるためのヒントがたくさんある、と説きます。 【漫画】「愛されないのが辛い人」に教えたい切り替え方
本稿では、同書から一部を抜粋してお届けします。 ■「妙なプライド」は無用の長物 妙なプライドは捨てる――その成功は「過去」のもの 自分自身や自分の行為・仕事にプライドを持つことは、非常に大事です。プライドがあればこそ、自分に恥じない生き方ができます。世のため人のために誠心誠意、仕事に取り組むこともできます。 しかし「妙なプライド」は無用の長物でしかありません。 たとえば家柄を笠に着て「庶民とはつき合えないよ」といわんばかりに偉そうにふるまう。実力もないのに学歴をひけらかして「それは自分のやる仕事じゃないね」などとうそぶく。
あるいは高齢者だと、リタイアしたあとも若い世代に「私はこのやり方ですごい数字を上げてきたんだ。一大プロジェクトをモノにしたんだ」などと過去のやり方を押しつける。 そういったプライドは誇りではなく、傲り(おごり)でしかないのです。 その辺をごっちゃにしないよう、妙なプライドが顔を出しそうになったら、こう自分に問いかけてみてください。 「いまのその気持ち、プライドですか? いま誇ろうとしているその成功、過去のものではありませんか?」と。
■「正論を吐く」人は嫌われる 自分の「正義」に溺れない――「正しいこと」を言うときほど慎重に 誰もが「道理にかなっている」と思える、いわゆる「正論」でさえ、ときに受け入れられないことがあります。 「君のいっていることは正論だ。ただ少し現実離れしてるね」というふうに。実際問題、「正論を吐く」人は嫌われることがけっこうあるのです。 ましてや自分が個人的に「正しい、これこそが正義だ」と思っている考えや意見など、周囲がどう判断するかはまったくわかりません。正義の解釈は人の数だけあるといっても過言ではないでしょう。