仕事や人間関係で「引きずらない」ための“思考法” 禅僧・枡野俊明さん「たくましく生きるヒント」
それなのに自分の「正義」を一方的に声高に主張すれば、方々から反感を買うこと必至。争いの火種を投げ込むようなものです。そんな事態を招かないためには、自分にとっての「正義」を疑ってかかることが重要です。 まずは「自分はこう考える」「こんないいアイデアを思いついた」と簡単に説明し、「みんなはどう思う?」と意見を求めるのです。 そのほうが素直に聞いてもらえるし、ほかの考え方やアイデアも出やすくなるでしょう。何事も多彩な視点から活発に意見交換をするほうが、結果的にいいものが仕上がるのではないでしょうか。
もっと「やさしい目」を持つ――「和顔施」に努めよう 自分の短所や弱点を指摘されるのは、あまり気持ちのいいものではありません。とくにそこに悪意がひそんでいると、いわれたほうはひどく落ち込みます。 相手の身になれば、いかに好感を持てない相手であっても、いちいち目くじらを立てるのは控えるべき。もっとやさしい目で長所を見つけてあげるのがいいかと思います。 とはいえ、指摘してあげたほうが親切な場合もあります。
自分の弱みに気づくことが、後々の成長に結びつくかもしれませんから。見出しの「やさしい目を持つ」とは、相手を正当に評価することでもあるのです。 問題は「言い方」でしょう。同じ言葉を投げかけるにしても、笑顔で語りかけるのか、苦虫をかみつぶしたような顔をしていうのかで、受ける印象はまったく違ってきます。 笑顔を見れば、相手は心を開きます。逆に仏頂面や怒った顔を向けられると、相手は心を閉ざします。笑顔でないと、せっかくの親切心も伝わらないのです。
仏教では、和顔施(わがんせ:笑顔)は「無財の七施(しちせ)」、つまりお金のかからないお布施の1つに数えられています。人間関係において“笑顔の出し惜しみ”は御法度ですよ。 ■私は“素顔の私”をつらぬく 「いい人」の仮面を外す――そのほうが人間関係はラクになる あなたはみんなに「いい人」だと思われたいですか? だとしたら、それはやめたほうがいい。なぜなら「誰にとってもいい人」になろうとして、接する人ごとに「いい人」を演じ分けなければならなくなるからです。