仕事や人間関係で「引きずらない」ための“思考法” 禅僧・枡野俊明さん「たくましく生きるヒント」
そんなふうに過去への執着が断ち切れない人は、「自分は毎日死ぬ」という考え方を取り入れてはいかがでしょうか。 室町時代だったか、ある高名な禅僧に「毎晩、自分のお葬式を営んだ」方がおられます。「今日の自分は死にました」と、毎夜毎夜、今日の自分を葬ってあげることによって、過去をも“亡き者”にしたわけです。 ここまでやると、過去への執着が断ち切れるのではないでしょうか。 禅では常に「いまを生き抜く」ことだけを考えます。「過去は過ぎ去るのみ。人はいましか生きられない」とし、いまを生きることを「一大事」と表現します。
誰しも、いろいろ失敗したり、後悔したりすることはあるでしょうけど、反省することで過去を弔えば、その経験が将来の糧になるのです。
枡野 俊明 :「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶