今しか撮られへんで―。大阪市中央区道頓堀の戎橋前にある大阪の名物「グリコ看板」。現在6代目看板を工事中で、現場を覆う工事用シートに女優の綾瀬はるかを代走として起用。これが「今しか撮れない」と話題を呼び、連日、通行人や観光客らが両手を広げた「ゴールインマーク」ポーズで撮影する姿が後を絶たないほどの人気だ。2003年には大阪城や通天閣などとともに「大阪市指定景観形成物」にも選ばれ、まさに市民らにも認められた「大阪名物」として人気の看板。新しい看板完成間近の文字も見られるなど、注目をあびている。

今月8日工事シートの背景が真っ赤に変化

[写真]「今だけしか撮れない」と若者から通りすがりのお父さんまで看板を撮影=大阪市中央区で

　8月17日に同5代目看板が16年の歴史に幕を閉じた1週間後、代走・綾瀬はるかシートが登場。その際の絵柄は、5代目看板に描かれていた通天閣や大阪城などの背景を綾瀬はるかが両手でどんちょうを降ろすような形で「長い間、ありがとうございました」と描かれていた。 　6代目の登場まで白いシートに覆われたままかと思っていた人たちは、突如現れた人気女優の意外な姿に驚きながらも「期間限定名物」と一緒に記念撮影をする人が多かった。 　そして今月8日、人気の綾瀬はるかシートに変化が。背景が真っ赤になり「新しいグリコの看板完成間近！！」という文字も記されていた。「もうすぐできるんや」。戎橋ではそんな声が飛び交うとともに記念撮影する人の数が後を絶たないほどの人気だ。ちなみに背景の赤は江崎グリコのコーポレートカラーだという。

今週、テレビのドラマと映画でみたから

[写真]両手を大きく広げて綾瀬はるか看板と記念撮影。このような光景が多くみられる=大阪市中央区で

　18日も朝から記念撮影をする人が多かった。中には、綾瀬はるかと同じように両手を広げたポーズをとって写真に納まる人も。大阪市内から来たという女性（24）は「前の看板と一緒に撮ったことはなかったけど、今週は綾瀬はるかをテレビで何度もみて撮りにきた」と話した。 　 　なるほど、15日には新ドラマ「きょうは会社休みます」、17日には「映画 ひみつのアッコちゃん」と綾瀬主演のドラマや映画がテレビで放映されていた。ほんの10分、橋の上にいただけでも「昨日の映画の子やな」「会社休みますってドラマの・・・」といった声が何度も聞かれた。 　東京都から来たという男性（42）は「これを撮る目的でわざわざきました（笑）。やっぱり『今しか撮れない』ということで。SNSやネットのニュースでこの画像は見てるけど、やっぱデカいし目の前で見て自分で撮って『この時はこうだったなあ』という記念にもなるから『まだ6代目出てこないで』と思いながら来ました（笑）。大阪の名物はおもしろいですね」と笑顔で話し、うれしそうに記念撮影に臨んでいた。 　18日夜は、プロ野球・阪神タイガースの日本シリーズ出場決定で盛り上がった戎橋周辺。この看板の盛り上がりとあいまって、道頓堀は、きょうも盛り上がりをみせている。

大阪のシンボル「通天閣」も現在工事中

[写真]免震工事のため脚部が覆われた通天閣。右下の写真は脚部拡大部分。鉄骨が組まれている=大阪市浪速区で

　一方、こちらも大阪の名物として知られる「通天閣」（大阪市浪速区）でも今月から免震改修工事が行われており、脚部などが囲われている。 　現段階でも鉄骨の劣化はないが、予測される大地震に備え工事を決定。国の登録有形文化財であることを配慮し、タワーでは世界でも類をみない「脚部改修」が始まっている。こちらは、タワーの印象を変えない免震改修を行う予定で、さらなる安全向上を目指すそうだ。 　大阪の名物がそろって大規模工事という偶然。その生まれ変わる姿も楽しみのひとつとなっている。