教育虐待は地方でも多発…多くの親が洗脳される“受験商売”の怖いカラクリ
受験勉強は行きすぎてしまうと単純に一律にやらせるもの、ただ点数を上げるものになってしまう。それだけになると、今いったような別の道のアイデアや、人がやっていないことを発想する力はなくなってしまいます。 ■子ども同士もプレッシャーとなる言動を与え合っている ――親だけでなく、子ども同士もプレッシャーを掛け合う関係になることもあるようです。 東京の受験する子が多い地域の学校では、学校に来ている子のほとんどが受験をするということもあります。そうなると、4年生、5年生あたりからは休み時間のたびに「あいつは〇〇塾の〇〇クラスだ」とか、「あいつは〇〇中学を受験する」というような話題になっていく。
子どもたちは塾で、「この夏で人生が決まる!」みたいなことを聞かされてきます。もしも小6の夏で人生が決まるのならば、夏休みの間一日たりとも勉強をしたことがなかった僕が、教科書や入試問題に作品が掲載されるような作家になって、こうやってインタビューを受けているわけないですよね。 けれども、それを洗脳のようにずっと言われ続ける。親や塾からだけでなく、受験する子ども同士が日々の生活の中でプレッシャーとなる言動を与え合っている。もっというと、そういう中で受験をしないという選択をした子たちも、プレッシャーはむちゃくちゃあると思います。すごく不健全なことですが、それに対して学校の先生は「やめろ」とは言えないわけです。
情報の分断もあると思います。もともと都会では近隣とのつながりが薄いですが、コロナ禍もあって、近所の家族同士で食事をするとか、地域の行事やコミュニケーションの機会はさらに減っています。ある塾の社員は「ターゲットは地方から来てタワマンに住んでいる親」と断言していました。 東京で育って、公立中学から公立高校に行きましたという親の場合は、自分の経験があるので中学から私立に行って何がそんなに違うのかと冷静に考えることができます。しかし、地方で生まれ育って東京にやってきた親の場合は、塾の先生から「私立の教育を受ければAIに負けないグローバル人材になれる」と言われたり、ネットで「東京の公立中学はヤバいらしい」「公立高校は怖いところだ」という噂を聞いたりしたときに鵜呑みにしやすいんだそうです。それである程度お金があれば受験させようと思う。