なぜF1開幕戦で表彰台快挙のレッドブル・ホンダに涙がなかったのか?
ホンダのパワーユニット(PU)を搭載するレッドブルのマックス・フェルスタッペンが、2019年の開幕戦オーストラリアGPで3位表彰台を獲得した。 レース後、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクター(TD)は「レースはチームやドライバーとの共同作業」とレッドブルのレース運営とフェルスタッペンのドライビングへ賛辞を贈ったが、同時に「いままで4年間やってきて、一度も表彰台に上がっていなかったわけだから、明らかに一歩前進。自分たちのPUを搭載したクルマが表彰台に上がったということは特に長い間、開発してきたメンバーにとっては大きな自信となると思う」と、喜びを噛み締めていた。 この日の表彰台がホンダにとって特別な意味を持つのは、2015年にF1に復帰して以来、これが初の表彰台だったからだ。今回のフェルスタッペンの3位は、じつに2008年イギリスGPのルーベンス・バリチェロ以来、11年ぶりの表彰台だった。しかも、2008年の表彰台は、雨でレースが大混乱となる中、バリチェロの巧みなドライビングとチーム戦略によって、予選16番手から手にしたもの。 これに対して、今回の表彰台は完全なドライコンディション。さらにセーフティーカーが一度も導入されない中、フェラーリをコース上でオーバーテイクして勝ち取った3位だった。しかも、シーズンの趨勢を映し出すと言われる開幕戦での好成績。ホンダにとって開幕戦での表彰台は、1992年以来27年ぶりのことだった。この年、マクラーレンと組んだホンダは年間5勝を挙げ、コンストラクターズ選手権で2位となっている。 フェルスタッペンも、今後に向けて次のように手応えを感じている。 「シーズン最初のレースでフェラーリをオーバーテイクし、メルセデスに勝負を挑めた。すごく収穫の多い開幕戦だったと思う。スピードに関していえば、僕たちはレース中ずっと速さがあった。それが昨年までと比較して、最も大きな進歩だ。他のトップ2チームと最高速を比べても、本当にうれしい驚きだ。信頼性に関しても、週末を通してまったく不具合が起きず、安定したパフォーマンスを披露してくれた。これは21戦あるシーズンを通して戦う上ですごく重要なこと。僕らが今後、タイトル争いができるかどうかは、近いうちにわかると思う」