なぜF1開幕戦で表彰台快挙のレッドブル・ホンダに涙がなかったのか?
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も、ホンダと歩む新しいシーズンに前向きだ。 「レッドブル・ホンダにとって、素晴らしい第一歩となった。われわれが力強いシーズンを送ることができると示すことができた。マックスのパフォーマンスも素晴らしかった。セバスチャンへのオーバーテイクは完璧だったし、ハミルトンとの戦いも見応えがあった。われわれはじつにレースの約50%にわたって、昨年の王者にプレッシャーをかけ続けることができた」 そして、こう続けた。 「メルセデスやフェラーリとのギャップを縮めるという開幕前の目標はほぼ達成していると言っていいだろう。ホンダはここまで最高の仕事をしている。信頼性を大きく向上させただけでなく、性能も上がった。だが、勝つためには、さらなるパワーが必要だ。もちろん、そのことはホンダもわかっているし、彼らならその約束を果たしてくれるだろう」 表彰台の下から、表彰式のセレモニーを見上げていた田辺TDは、こう言う。 「正直、うれしかったですが、予選とレースを通してメルセデスの強さも同時に実感しました(予選ではルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得。レースでもバルテリ・ボッタスが独走)。今後のレースを考えると、これで安堵している場合ではありません。開発陣と協議して、PUのパフォーマンスを少しでも向上させていくだけです」 復帰後、初の表彰台に歓喜したメルボルンでのレッドブル・ホンダ。しかし、そこにまだ涙はなかった。なぜなら、新たにパートナーを組んだ彼らの目標は表彰台ではなく、レースに勝つこと、タイトルを獲ることだからだ。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)