興玉に突然の襲撃、懸命な小夢を見守る芹田の切ない視線…『全領域異常解決室』最終回前の第9話
“不可解な異常事件”を「全領域異常解決室」(通称「全決(ゼンケツ)」)が解決していくフジテレビ系ドラマ『全領域異常解決室』(毎週水曜22:00~)。11日に放送される第9話(※FODで先行配信中)では、月読命・佃未世(石田ひかり)が死ぬ間際に何者かに「天石戸別神は興玉雅」とメッセージを送っていたことが発覚。それを見た小夢は…。そして興玉の身に危険が及ぶ。 【写真】『全領域異常解決室』第9話場面カット(全7枚)
■ペンで刺され出血が止まらない興玉 荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)は、直毘吉道(柿澤勇人)からの情報により興玉雅(藤原竜也)とヒルコの関係に不信感を抱き、興玉に事情を聞く。そんな中、興玉は警察の資料から月読命・佃未世が何者かに「天石戸別神は興玉雅」とメッセージを送っていたことを知る。 その後、全決に戻った興玉だったが、突然の襲撃に遭い、ペンで刺される。それは、神器・天之加久矢の矢尻で雨野小夢(広瀬アリス)が仕留められた時にも使われた特別なものだった。傷口からの出血が止まらず、徐々に弱っていく興玉。その時、豊玉妃花(福本莉子)、芹田正彦(迫田孝也)、村主虎飛矢(名村辰)がやって来て…。 出血が止まらない興玉は、全決メンバーに自らが「天石戸別神」であることを打ち明ける。驚く一同。天石戸別神が生き残るためには一度、興玉としての人生を終わらせ、再度神の魂が生まれ変わるのが最善の策だが、興玉が死ねばヒルコは「小夢を殺す」という。興玉を助けるため、小夢は芹田とともにある場所へと向かう。 ■小夢らしからぬ「本当におろかですね、人間って」 「全決」メンバーのうち、小夢が天宇受売命と分かり、興玉もまた天石戸別神だということが判明。メンバーの「もう一つの顔」が次々と明らかになってきた。そして前回のラストシーンでは、寿正(野間口徹)が宇喜之民生(小日向文世)に天石戸別神を消すように命じた。うつろな表情ではあるものの、頷く宇喜之。「全決」の局長を務め、穀物の神としてメンバーの食卓を楽しそうに取り仕切っていた宇喜之だが、彼もまた別の顔を持っているのか。 こうなると芹田や村主も疑わしく思えてしまう。メンバーみんなで宇喜之のお手製ピザに舌鼓を打っていた頃が懐かしい。もうあの頃には戻れないのだろうか。 小夢からは「本当におろかですね、人間って」という言葉が飛び出す場面も。人間を信用できない興玉に対して、それでも人間を信じると言い続けてきた小夢。この言葉には興玉も思わず「室長らしくないですね」と言い返す。この小夢の言葉は、前世が神だったからこその見地によるものなのか。それとも正義感の強さがゆえに、人間に不信感を抱くようになったのか。 それでも小夢の正義感の強さは今回も随所で見られる。たとえ人間に絶望したとしても、この正義感だけは最後まで貫いてほしい。 ■涙ながらに懇願「私の大事な人を助けてください」 何者かに刺されてしまった興玉。これもヒルコの仕業なのか…。とある人物を訪れた小夢は「私の大事な人を助けてください」と涙ながらに懇願する。 そんな小夢を見つめる芹田…そもそも小夢が事度を渡される前までは夫婦だった2人。しかし、小夢がその事実に気が付く前は自分から夫だと名乗ることもせず、常に遠くから温かく見守っていた。そして猿田毘古神の能力を使っていち早く小夢の元に駆け付け、応援、サポートしていた。 芹田の視線の先には常に小夢がいて、その献身的な姿にはグッとくるものがある。しかし、小夢が自分の姿に気が付き、興玉と徐々に信頼関係を築き始めてからは、寂しそうに2人を見つめることが多くなっていたように感じる。そして今回も、小夢の懸命な姿を見つめる視線はどこか切なそうで、見ているこちらも心が締め付けられる。 三谷幸喜作品をはじめ、数々の役を常に起用にこなす迫田。今回もその“視線”に込められた感情表現に感服だ。そしてやはり興玉と小夢が“運命の2人”なのだろか。 ■定番の恋愛トークが一服の清涼剤に このようにシリアスかつスピーディーでスリリングなシーンが多い中、全決メンバーが恋愛トークで盛り上がる場面は毎回、唯一ホッとできて時にクスッと笑える。今回は、興玉と豊玉の車中でのシーン。豊玉の唐突な言葉に、興玉は「何です、こんな時に」と受け流そうとするが、豊玉は平安時代の話を持ち出す。その2人の会話は微笑ましく、これから起こるシーンの前の一服の清涼剤のようだ。 また、興玉のダイナミックかつ華麗なアクションシーンも再び登場。そのキレの良さに感心させられ、つい見入ってしまう。 世間では、ヒルコのメッセージによる混乱が巻き起こり始めていた。そこには現代社会の悲しい現状が垣間見える。混沌とした世の中を救うのは神なのか、人間なのか。そしてヒルコの正体がついに…。次回はいよいよ最終回。「全決」の結末とは。
佐々木順子