「18歳で死ぬよ」誕生とともに余命宣告から始まった人生 落語家・三遊亭あら馬「あなたの保険証がほしい」でプロポーズし
ところが結局、正劇団員にはなれなくて。「もう、芸能界の夢を見るのもおしまいなのかな」「28歳になって、ここが潮時なのかな」って。それで、山口百恵さんみたいに自分もマイクを置くような気持ちで芸能界を離れる決心をしました。
■「あなたの保険証がほしい」でプロポーズ ── ご結婚を? あら馬さん:いえ、実は、結婚は25歳のときにしていたんです。アナウンサーの夢を追いかけながら、結婚のことは3年間周囲に隠していました。芸能活動に専念したかったし、結婚をオープンにするタイミングもつかめなくて。
── 若くして結婚されていたんですね。 あら馬さん:純愛というより、かなり現実的な理由です(笑)。生まれつきの難病のこともあって、東京に来てからも何度も入退院を繰り返していたんです。将来のことを考えると「保険証がほしい」と。それで、高校時代からつき合っていた会社員の彼に「お前の保険証がほしい、くれ」と私のほうからプロポーズしました(笑)。そしたら彼は「おう、いいよ」と受けてくれて。 私のこの激しい気性についてこられるのは彼しかいなかったんですよ。入籍日も語呂合わせで決めたくらいだから、ロマンチックな結婚とはほど遠かったですね。今ではもう、ビジネスパートナーみたいな感じ。お互いの人生には口出しはしません。
それで話を戻すと、私が28歳のときに彼が「浜松に転勤することになった」と言い出したんです。最初、浜松町のことかと思って「なんだ、近いじゃん」と思っていたんですが、実際は静岡の浜松市で。その後、名古屋への転勤が決まりました。 ── それで東京を離れることになったのですね。 あら馬さん:ええ。正直、東京を離れるのはつらかったです。夢を諦めるような気がして。けれど、自分の病気のこともあって、できれば早く子どもがほしいという気持ちが強くなっていました。芸能界の夢は諦めて、家族を持ついいタイミングなんじゃないかなって。そんな思いで東京を離れる決心をしたんです。
PROFILE 三遊亭あら馬さん さんゆうてい・あらま。落語家。女子大生タレント、ラジオパーソナリティ、コンサル会社総務、フリーアナウンサー、劇団スーパーエキセントリックシアター研究生を経て、2017年、三遊亭とん馬に入門し落語家に。2021年5月に二ツ目昇進。2019年杉並区立小学校PTA連合協議会会長。2022年11月より宝島社女性ファッション誌『GLOW』専属読者モデル。2023年4月、フジテレビ『めざまし8』、2024年9月、NHK『視点・論点』でPTA会長4回経験の解説者として放映。2024年10月より調布FMレギュラーとして出演。 写真提供/三遊亭あら馬
山田優子