「有能だけど問題人物」は組織にとって、やはり害悪である…「最強チーム」をつくる絶対ルール
あなたの会社に、有能だけれど人に害を与える人物はいないだろうか? Google、ピクサー、アメリカ海軍ネイビーシールズなどの最強チームを調査してきたダニエル・コイル氏によると、“有能な人でなし”が出す結果よりもチーム全体が受ける損害のほうがいつでも大きくなることが証明されているという。 【一覧】これから給料が「下がる仕事」「上がる仕事」全210職種を公開 著書『THE CULTURE PLAYBOOK 最強チームをつくる方法 実践編』を上梓したコイル氏が、“有能な人でなし”のいないチームをつくる方法について解説する。
「個人の有能さ」よりチームを優先する
有能な人はそれだけで魅力的だ。だからこそ私たちは、結果を出しているなら人間性に問題があっても見逃してしまうところがある。しかし、この考え方は間違いだ。 これまでの研究によって、有能な人でなしがどんなに結果を出しても、その人物の存在からチーム全体が受ける損害のほうが、いつでも大きくなることが証明されている。 有能な人でなしを一切許容しないという方針に効果があるのは、それが明確な帰属のシグナルとしての役割を果たすからだ。「たとえどんなに有能であっても、チーム全体よりも優先されることはない」というメッセージを、チームの全員が受け取ることができる。 このメッセージの力は数々の研究によっても証明されている。礼儀正しさや他者への思いやりを大切にするチームのメンバーは、そうでないチームのメンバーに比べ、他のメンバーと情報を共有する確率が59パーセント高くなるという。 次からは、人でなしのいないチームをつくる方法と、どうしても避けられないメンバー間の衝突に対処する方法を具体的に見ていこう。
「人でなし判定」を採用基準に加える
・ルール化する 有能な人でなしを一切許容しないという態度を明確にルール化し、採用の過程で候補者にはっきりと伝える。たとえば、採用基準に「人でなし判定」を加えるといいかもしれない。 プロバスケットボール(NBA)チームのサンアントニオ・スパーズは、毎年のドラフトで、選手をあらゆる面から評価するようにしている。 スパーズの評価シートには、シュートの成功率、スピード、ディフェンス能力といった項目がずらりと並んでいるが、最後に登場する項目は次の通りだ。 □ スパーズにふさわしくない この項目にチェックがつくと、選手はドラフトの候補から外される。どんなに能力が高くても関係ない。 もしかしたら人でなしかもしれないという人間を見抜くには、周りの人たちへの接し方をよく観察してみるといいだろう。 たとえばネット通販大手のザッポスでは、候補者を面接会場まで運ぶシャトルバスの運転手にまで話を聞くという。さらに、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のディラン・マイナーが考案した3つの質問も役に立つかもしれない。 これらの質問で、有害な態度を示す可能性のある人をあぶり出すことができる。 質問(1) AとBのどちらにより同意しますか? A ルールはつねに守らなければならない B 目的を達成するためにはときにはルールを破らなければならないこともある 質問(2) AとBのどちらが好きですか? A 周りの人に近況を尋ねること B 過去は忘れること 質問(3) 職場でのあなたはAとBのどちらにより近いですか? A イノベーター B 顧客の代弁者 (答えがB、A、Bの人は、有害な態度を示す可能性が低いと考えられる)