「有能だけど問題人物」は組織にとって、やはり害悪である…「最強チーム」をつくる絶対ルール
「人でなしはいらない」と伝え続ける
・ルールを広める 「このチームに人でなしはいらない」というメッセージを、伝え方を工夫しながら継続して発信する。壁に書いてもいいし、従業員ハンドブックに記載してもいい。 さらに、このチームでは許容されない態度や行動の具体例もあげる(たとえば、尊大な態度、無礼な態度、自分だけ特別扱いを求める、など)。以上のようなルールを、スピーチ、プレゼン、話し合いなどの場で何度もくり返す。 「オールブラックス」の愛称でおなじみのラグビー・ニュージーランド代表チームは、史上もっとも成功したスポーツチームの1つだ。そんなオールブラックスには、「愚か者(ディックヘッド)は去れ」というスローガンがある。 あるいは、それと同じ意味で「愚か者(アスホール)禁止」というルールを採用しているチームもある。 どちらも実にシンプルで、勘違いしようのない表現であり、だからこそこのメッセージは大きな力を持つ。
人間性ではなく態度だけを指摘しよう
・対峙する チームの誰かが人でなしのような態度をとったら、すぐにそれを指摘する。 その際に気をつけてもらいたいのは、まず問題のメンバーと2人だけになる状況をつくり、そこで相手の人間性を否定するのではなく、許容されない態度だけにスポットライトを当てて指摘するということだ。 それでも態度が改まらなかったら、そのメンバーを切ることをためらってはいけない。 問題のある態度をすべて避けることはできないが、チーム全体よりも優先されるメンバーは存在しないという明確なメッセージを送り続けることならできる。 こんな疑問を持つ人もいるかもしれない。「有能な人でなしでも偉大なリーダーと呼ばれる人はいるではないか。たとえば、スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスク、マイケル・ジョーダン、トーマス・エジソンはどうなんだ?」と。 その質問に対する答えは、「たしかに有能な人でなしでも偉大なリーダーになれることもあるが、それはレアケースだ」となる。たとえば、彼らが率いるチームが、同じマーケットの他のチームよりも戦略的に優位な立場にあるような場合だ。 しかし、それ以外の大多数のチームにとっては、有能な人でなしの存在はマイナスにしかならない。どうしてもそのチームに所属しなければならない理由がないので、メンバーは人でなしの態度を我慢せず、ライバルのチームに移ってしまうからだ。 スティーブ・ジョブズさえも、人でなしが与える害に気づいてからは実際に態度を改めている。
ダニエル・コイル(作家)