「越えられない気がする」「ストールしてはいないのに」「あと一歩のところまで」【SF Mix Voices 第5戦決勝(1)】
8月25日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで全日本スーパーフォーミュラ第5戦の決勝が行われ、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの牧野任祐が今季2勝目をあげた。 【写真】2024スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ Juju(TGM Grand Prix) ここでは決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちが決勝レースについて語った内容を2回に分けてお届けする。 ■大津弘樹(TGM Grand Prix) 決勝15位 今回から最終戦までTGM GrandPrixでのレギュラー起用が決まった大津。予選では苦戦を強いられ19番手スタートとなった。 「昨日の予選があまりにも良くなかったので、その課題を今回は解消したいということで、コンセプトとか方向性を色々変えてFP2を走りました。コンディションも違うし対象相手もいないので分からないですけど、昨日よりフィーリングはちょっと良かったポイントがあったので、それの延長線上でレースセットを組み立てました」と大津。 しかし、いざ決勝レースが始まると、期待とは異なる状況とならず、最終的に15位でフィニッシュ。「(朝のフィーリングを元にして組んだセットが)レース本番ではあまり機能しなくて、かなり低迷した1日でした」と肩を落としていた。 残るは富士と鈴鹿の2大会4レースとなるが、クリアしなければいけない課題は多そうな様子だ。 「暑いコンディションで、エアロを使うコーナーが少ないもてぎだと、鈴鹿や富士とはキャラクターが違います。今回悪かったことをよくしても、空力を使い出したら変わってくるところがいろいろあると思います」 「なので、これが後半戦まで響くとは思わないんですけど……方向性が違うんだなというのは再認識したので、このままだと小さな限界域のなかでは走れない。それを広げるためには、違う角度からの見方をしないと、越えられないような気がするので、このままではまずいなと思いました」 「インターバルの間で出来ることを探してやっていきたいです」と、大津は気合いを入れ直している様子だった。 ■笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S) 決勝16位 スタートでうまく蹴り出せず、最下位から決勝レースを戦った笹原。この週末は、フリー走行時点からスタートに課題を抱えていたのだという。 「スタートは、実は練習時点からずっとクラッチが安定していなかったんです」 「本番では、クラッチを繋ごうと思ったらまったく繋がらず、ストールしてはいないのにまったく発進できない、といった感じでした」 遅れを取った後は、隊列の最後尾になんとか近づき追い上げる展開となったが、「ペースもキツく、とにかく粘るしかなかった」といい、決勝レースを16位で終えた。 レースペースについては、「今週末、抱えている課題は一貫して変わらず、自分のなかでは問題となるところもクリアなのですが、そこが一向に改善できませんでした」とこちらも渋い感想。 「自分のなかでは、『ココかな』と課題についての答え合わせができているのですが、(マシンセットについて)自分の知識が豊富なわけではないので、チームに委ねるしかないという状況ですね」 現時点では低い次元でマシンバランスを探ってしまっていると悔しさを露わにする笹原。 「(次戦富士の)10月までになにかを見つけることができれば、マシンバランスを探ることができる次元を絶対に掴めると思うので、そこを頑張ってきます」 ■佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING) 決勝10位 予選日は、フリー走行で安定して上位タイムを刻み、予選では9番手グリッドを獲得した佐藤。 そんななか迎えた決勝レースは、スタートで出遅れて大きくポジションを下げてしまう厳しい開幕となった。 「スタートで15番手まで落ちてしまって。その時点で、一気に順位を上げるにはミニマムでピットに入るしかないなと考えました」と、早々に舵を切りなおしたというが、レース後半にはさらなる課題ものしかかってきた。 「11周目終わりにピットへ向かって、作業自体もうまくいっていい場所に出ることができたと思います」 「ですが、とくに30周を超えたあたりからトラクションが足りず、どんどん順位を下げてしまうかたちになってしまいました」 「遅かった部分については、前回の(第4戦)富士と似ているところもあるので、次からは考え方を変えていかなければいけないなと思います」 スタートでのミスがなければ、「良いポジションで違う展開のレースを戦えた」という佐藤。今季は開幕戦の5位がベストリザルトとなっているが、次戦富士での表彰台獲得へ向けた課題は「とにかく予選」と意気込む。 「今回は予選9番手でしたが、トップからコンマ3秒の差でかなり接戦でした。SFで結果を出すには、細かいところの再現性も重要だと思いますし、そこでしっかりとコンマ1秒を詰められるチカラが大事だと思います」 「もちろん、スタートもしっかりと見直さないといけないと思いますし、とにかく予選で前に行きたいです。次回富士2連戦は、持ち込みから良い状況で走れるように、しっかり準備していきます」 ■Juju(TGM Grand Prix) 決勝18位 スタートで1ポジションアップし、約2周の間笹原からポジションを守るなど、これまでよりも力強いレース展開を見せたJuju。 ピットアウト後も、大嶋和也(docomo business ROOKIE)や笹原と近いところを走る場面が見られたが、「あと一歩のところまで来れた、という実感を得ることができました」と決勝レースを語る。 「今回分かった課題を、チームとともにしっかりと詰めていくことができれば、ライバルとも戦えるという自信を得ることができました」 今大会では予選日から、「前が見えた」とライバルとの距離感が縮まった感覚を語っていた彼女は、決勝日にも前戦からの成長を実感することができたとコメント。 「一歩一歩ですが、細かいところの成長を日々感じることができて、チームに感謝だなと思います」 「スーパーフォーミュラは練習ができない分、いろいろな方のサポートを受けながら、少しでも追いつけるように練習してきたので、それが今回は活きたなと感じています」 次回の第6/7戦富士は「これまでのデータも活かして、クルマづくりも自分自身の走りもレベルアップできれば戦える」と自信を露わにするJuju。 「次は2レースあるということで、その分多く走ることができるのというのも楽しみですね」と、これまでの成長にさらなる勢いを得た様子の笑顔を見せてもてぎをあとにした。 [オートスポーツweb 2024年08月26日]