修学旅行に「探究学習」をどう取り入れるか? 事前事後学習のプロセスから生徒の様子までを現場教員に聞いてきた
いま、全国で修学旅行シーズン真っ盛り。新学習指導要領の完全実施で、2023年度は修学旅行を「探究学習」の機会として実施する学校が増えている。急速な変化を伴う予測困難な時代、学校で育てるのは「生きる力」であり、主体的・対話的で深い学びを選べる体験の場として修学旅行が重視されている。 私立の女子ミッションスクールの晃華学園中学校高等学校(以下、晃華学園)もその1校。中高一貫校の特性を活かし、独自の修学旅行プログラムを早くから実施している同校に、探究のサイクルから実際の生徒たちの学習の様子、課題までを聞いてきた。
日常から探究のサイクルを習慣化
東京調布市。都下の住宅街のなか、自然豊かな敷地が広がるのが晃華学園だ。同校が探究的な学習を重視するようになった時期は早い。育てたい生徒像について、カトリック精神などとともに「変化に適応できる教育」を掲げ、2012年に平和や国際的な連携を実施するユネスコスクールに加盟、2019年には「ESD活動推進拠点」に認定された。晃華学園中学校高等学校の広報部長・宗教科主任の安東峰雄氏は、「新学習指導要領の実施前から高校の修学旅行を教育の集大成と位置づけ、グローバル化した世界、情報化社会で生きていく力を養えるプログラムづくりに取り組んできた。それが現在に活かされている」と語る。 文部科学省は「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」のなかで、探究的な学習について、日常生活や社会に目を向け、生徒が自ら課題を設定し、情報収集、整理・分析、まとめ・表現を経たうえで自分の考えや課題が新たに更新され、探究の過程が繰り返されることと記している。 晃華学園は探究のサイクルを、社会、地域、学校の輪に沿いながら「課題の発見、分析、実行、見つめ直す」の4つを何度も繰り返すことで進化させていくと設定しており、安東氏は「探究は修学旅行だけでなく、すべての教育活動でトライ&エラーを繰り返すことを大切にしている」と力を込める。 6年間にわたる中高一貫教育ならではの特性を活かし、中1「手帳・学習計画表の活用」、中2「調布調べ学習」、中3「課題研究の執筆」、高1「探究論文の執筆」、高2「ポートフォリオの作成」、高3「進学に向けた個別指導」といったプロセスを描く。中学2年生で地元の調布市でおこなうフィールドワーク・インタビューも、持続可能な地域共生を考えるステップの1つだ。