ダウンの“あるある問題”を解消! ゴールドウイン渾身の「3D BOX BAFFLE DOWN」のスペックとは
裏地の長さを変え、保温性をアップ
ー具体的にどのような構造になっているのですか? ポイントとなったのは裏地の長さです。弊社も含めて、これまでの一般的なダウンジャケットは、表地と裏地がほぼ同じ長さで作られていて、間に中わたを詰めるという構造でした。この構造だと裏地が体の動きに追従しないだけでなく、中わたが潰れてしまい、ダウンのフィルパワーや保温性が生かされないことが多いことがわかりました。 そこで裏地の長さを長くして、ブロック状に区分けをし、タックやプリーツで立体感を出すことで、上下左右に動いても体に追従して、コールドスポット(縫い目部分のダウンが潰れて冷気が入り込んでしまう箇所)を作らないダウンが完成しました。 ー背骨の部分だけパターンが違うのは、先ほどおっしゃっていた背骨を温めるためですか? その通りです。人間の体は前肩気味になっています。たとえばアウトドアカテゴリでは山道を歩くことを想定するのですが、このときは前傾姿勢になるため、より前肩になりやすいんです。そうすると背骨付近のダウンが左右に逃げてしまって、隙間が空いてコールドスポットが生まれやすくなります。そこで背骨付近の幅を狭くすることで、ダウンが左右に逃げることを防いでいます。
ーパターンにおいて、他にこだわりはありますか? まずアウトドアカテゴリのダウンジャケットでは背面とフードにのみ、3D BOX BAFFLE DOWNを配置しています。というのも、立体感があるので、すべてに入れてしまうと着膨れてしまい、動きづらくなるからです。
また、表地にゴアテックスのウインドストッパーを採用しているのですが、軽量の素材なので、ダウンの形状が伝わりやすく、身頃が相当膨らむんです。3D構造を維持しながらも、どうしたらすっきりとしたフォルムに見えるか。この調整には苦労をしました。
一方で張りがある表地の場合は、ダウンが響きにくいので、前面にも配置をしています。また、ライフスタイルカテゴリのダウンは、背面全体に取り入れると街中では暑いぐらいなので、横一列に配置をしたりと、カテゴリによって3D BAFFLEのパターンを変えています。