積水、シャープ堺工場の取得検討 次世代太陽電池生産、脱炭素化へ
積水化学工業がシャープ堺工場の一部取得を検討していることが4日、関係者への取材で分かった。再生可能エネルギー普及拡大の鍵を握る次世代技術として2025年の事業化を計画する「ペロブスカイト太陽電池」の生産拠点にすることを想定している。実現すれば、経済産業省が脱炭素化を推進するための補助金の活用を念頭に支援する見通しだ。 ペロブスカイト太陽電池は軽くて折り曲げられるのが特長で、従来のシリコン系太陽電池では難しかったビルの外壁や曲面への設置が可能だ。主原料は日本の産出量が世界第2位のヨウ素で、国内で供給網が確保できるため、経済安全保障の観点からも期待が高まっている。コスト低減や耐久性向上などが量産化に向けた課題とされ、官民を挙げた取り組みが求められている。 シャープを象徴する拠点の堺工場では、不採算を理由にテレビ向け大型液晶パネルの生産を8月21日に完全停止した。シャープは赤字経営が続いており、工場をデータセンターなどに転用することで事業構造の見直しを進めるほか、一部は売却を模索している。