川西賢志郎、お笑い賞レース常連から朝ドラ俳優へ 『おむすび』でも“市井の人”になりきる?
ヒロインの結(橋本環奈)がギャル文化と出会ったことで抑え込んでいた自分を解放し、本当にやりたいことを見つけるまでが描かれた「福岡・糸島」編が幕を閉じた。『おむすび』(NHK総合)第8週からは、結が6歳まで生まれ育った神戸で栄養士を目指す「2007年 再びの神戸」編が幕を開ける。 【写真】【よしもと男前ランキング】“朝ドラ俳優”としての和牛・川西賢志郎 いつも明るく前向きだった“ハギャレン”のギャルたち、空気は読めないが、米田家の太陽のような存在だった祖父の永吉(松平健)、幼い頃から結を一途に想い続けているものの、なかなかそれが本人に伝わらない幼なじみの陽太(菅生新樹)など、糸島編で登場した個性豊かなキャラクターになかなか会えなくなると思えば寂しいが、新しい章でも私たちを楽しませてくれそうな人物が多数登場する。 その中から今回取り上げたいのは、スポーツ関西の記者・松本(川西賢志郎)だ。NHK大阪放送局が制作する朝ドラには毎回多数の芸人が出演しており、本作にもすでにシソンヌの長谷川忍、原口あきまさ、ゴリけん、パラシュート部隊の斉藤優、ミルクボーイの内海崇が登場している。そんな彼らに続いて登場となる川西は、2006年から今年3月に惜しまれつつ解散するまでお笑いコンビ・和牛のツッコミとして活躍。4月期放送のドラマ『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で俳優デビューし、2作目にして初の朝ドラ出演を果たす。 単独ライブのチケットが常に入手困難と言われるほど人気を博した和牛。緻密に計算し尽くされたストーリー仕立ての漫才、観客の想像力を膨らませる高い演技力、対照的なようで息ぴったりな二人のかけ合いなどが武器で、2009年から2年連続でABCお笑い新人グランプリの新人賞を獲得。2014年には第44回NHK上方漫才コンテストで優勝を果たし、M-1グランプリには2015年から5年連続で決勝進出を果たすなど、数々の賞レースで活躍した。 個人的な話になるが、筆者も和牛のファンで、特に川西が好きだった。そのことをSNSに投稿したところ、多数の女性から「私も好き」と共感の声が届き、男性からは「同性目線でも川西が女性に好かれるのはわかる」とコメントがきたことがある。事実、和牛として活動中はSNSが大騒ぎになるため、恋愛話はNGだったとも言われるほど、とにかく女性ウケが抜群なのだ。どうして川西はこんなにも私たちの心を鷲掴みにするのだろう。 川西は「よしもと男前ランキング」で2位にランクインしたことがあるほど、男前でスタイルがシュッとしているのもある。だが、決してビジュアルだけではない。多くの女性から支持を受けている理由の一つは、川西の持つ絶大な安心感と包容力ではないだろうか。大阪府東大阪の出身でコテコテの河内弁を使うこともあるが、全国区のテレビで見る川西は口調が柔らかく、はんなりとした雰囲気。理屈っぽい相方・水田信二のボケに振り回されつつも、臨機応変に対応する川西のツッコミは鋭くも愛があって、見ていてなんだかホッとする。 そんな川西の魅力は俳優の仕事にも生かされており、『ミス・ターゲット』では居酒屋「もつ焼き 稲垣」のオーナーで、 上杉柊平演じる宗春の幼なじみ・稲垣を好演。恋愛に奥手な宗春をいつも明るく見守る安心感のある笑顔が印象的だった。前述したように、和牛はもともと演技力の高いコンビで、なかでもネタの中で披露する川西の女性役が評判。ウィッグや衣装などの小道具やメイクで女装しているわけではないのに、口調や仕草だけで女性に見えてくるから不思議だ。稲垣を演じるときも人情溢れる演技が印象的で、細部にわたって「こういう人いる!」と思わせるリアリティがある。芸人としての力が発揮された妻・歩美役の小槙まことの夫婦漫才のようなかけ合いも見どころの一つで、展開に大きく関わるわけではないが、物語のスパイスとなっていた。 今回演じる松本は、プロ野球選手を目指す翔也(佐野勇斗)が就職した社会人野球で有名な「星河電器」の選手たちを取材する記者。「スポーツ関西」というネーミングもさることながら、持ち前の擬態力でどこかにいそうな市井の人になりきってくれるのではないか。 制作統括の宇佐川隆史チーフプロデューサーも「記者・松本役の川西賢志郎さんは、選手に取り入ろうとする絶妙な立ち回りが『記者そのもの』」(※)と太鼓判を押す川西の俳優仕事第2弾に注目してほしい。 参考 https://realsound.jp/movie/2024/11/post-1839957.html
苫とり子