「認知症は防げない。でも、遅らせることはできる」脳の老化を遅らせる方法とは【和田秀樹×草野仁対談⑥】
草野仁の“太陽のようなパワー”はどこから生まれるのか。東大の先輩・草野と後輩・和田秀樹が“人間のエネルギー”に迫る。『80歳の壁』著者が“長生きの真意”に迫る連載。6回目。 【写真】和田秀樹×草野仁、対談の様子
認知症にならない生き方
和田 多くの人は認知症になるのを恐れています。でも認知症は脳の老化現象なので、それを防ぐ方法はありません。ただし老化現象だから、遅らせることはできます。 草野 なるほど。 和田 例えば80歳でボケるところを、頭を使ってたから90歳まで遅らせられた、とか。 草野 同年代の方にも聞かせたいお話ですね。 和田 最も大事なのは意欲なんです。「つまんないなあ」と思って生きるより「今日はこうしてみよう」「あれもやってみよう」と思いながら生きていると、自然に頭も使います。毎日を惰性で生きるのではなく、積極的に実験をするようなつもりで生きたらいいと思います。 草野 和田先生も血糖値がかなり高くなって、実験的に歩いたそうですね。そして徐々に改善していった。 和田 はい。
元気な幸齢者の共通項
草野 私も番組で元気な幸齢者に接しますが、共通項があります。例えば声の圧力です。90、100歳になっても50~60代と変わらない。精力的に歩くことも共通しています。満員電車にも平気で乗り、1時間ぐらいかけて目的地に行ったりする。歩くスピードも速いです。やはり人間は動物ですから、歩くことは大事なんですね。 和田 はい。仰る通りです。 草野 昔は「精神的な強化も含めて1万歩」なんて言われてましたが、5000歩ぐらいでもいいみたいですね。 和田 歩数よりも毎日続けることが大事なんです。3000歩でもいいから、毎日歩く。 草野 “健康賢者”のなかには「外には行かない」という方もいました。家の中を速めの歩き方で3分。休憩後に普通の歩き方で3分。これを何度かくり返す。何歩歩くとか、どこを歩くとかではないんですね。 和田 はい。動くこと自体が意欲のある証なんです。「もういいや」じゃなくて「今日もやる」と。草野さんは全身から意欲が溢れています(笑)。 草野 いやいや、単なる出しゃばりです(笑)。 和田 出しゃばるのをやめたらヨボヨボになりますよ(笑)。 草野 仰る通りですね。やはり健康賢者は「これをやりたい」という想いが強いですよね。例えば「ダーツが趣味」と言う102歳の女性がいました。かなり高得点を出すんですよ。その方は他にも14種類の趣味があると言っていました。 和田 意欲があるんですよね。