バス運転手になってくれたら家賃6500円…阪神バスと尼崎市が路線維持へ覚書
全国の路線バスは運転手の不足により、減便や路線廃止に追い込まれている。改正労働基準法の施行で今年4月から、1人当たりの労働時間が短縮された。「2024年問題」と呼ばれ、路線維持に必要な運転手の確保がさらに難しくなっている。
兵庫県尼崎市では16年、阪神バス(本社・尼崎市)が市営バス事業を継承。路線やダイヤもそのまま引き継いだ。だが、運転手は5年前に比べて約50人減って約400人に。コロナ禍で新規採用を減らしたことや、2024年問題もあって、今年6月と12月には計89便を減便した。
市は22年度から市営住宅をDV被害者らに格安で提供する支援事業「REHUL(リーフル)」を開始。この事業に阪神バスが加わり、建て替えのため入居者の募集を停止している空き部屋を使ってもらうことにした。
部屋の改修費は借りる側が負担することになっているが、阪神バスは費用を家賃に転嫁することなく、新たに採用した運転手に家賃6500円のままで住んでもらうという。
19日に市役所であった覚書締結式で、松本真市長は「公共交通機関の路線維持に向けてお互いが知恵を出し合い、協力していく」とあいさつ。城島和弘社長は「阪神間は住居費が高くて入社に二の足を踏む地方出身者が多い。住居費が抑えられるのは大きなメリットで、これまではできなかった遠隔地での採用活動を活発化させ、一人でも多く運転手を増やしたい」と話した。