シリーズ・総裁選~新政権 (2)石破流「べき論」外交の当否
秋葉NSS局長の去就も焦点
石破外交は、対米・対韓関係で安定飛行にあった岸田前政権からバトンをスムーズに受け継いだ。しかし、持論の実現に向けて前のめりになり過ぎ、石破氏に原理主義的傾向が出てきた場合には、外務省や防衛省との間で政策をめぐって “小競り合い” が起きそうだ。 加えて、解散・総選挙のタイミングやその結末、11月5日投票の米大統領選ではトランプ前大統領の再登場もあり得るなど、国内外には先読みできぬファクターがいくつもある。このため、自身を支える即戦力の陣容を早急に固める必要性が出て来る。例えば、閣僚ポストとしては、外相、防衛相、経済安全保障相に誰を起用するのか、また、安倍、菅、岸田各政権の中枢で外交安保政策の舞台回しを担って政官の接点で無類の調整力を発揮、今や唯一無二の存在とさえ見なされている国家安全保障局(NSS)の秋葉剛男局長の去就なども、今後の石破外交の成否を占うポイントとなる。 【参考文献】石破茂『保守政治家』(講談社)、同『異論正論』(新潮新書)、同『政策至上主義』(新潮新書)
【Profile】
鈴木 美勝 ジャーナリスト、日本国際フォーラム上席研究員。早稲田大学政経学部政治学科卒。1975年時事通信社入社後、政治部記者、ワシントン支局特派員、ニューヨーク総局長を歴任。専門誌「外交」編集長兼解説委員などを経て現職。富士通FSC客員研究員も務める。著書に『日本の戦略外交』(ちくま新書)、『北方領土交渉史』(同)、『政治コミュニケーション概論』(共著、ミネルヴァ書房)など。