元鉄道員の作家ゆかりの品 家族が国家鉄道博物館準備処に寄贈/台湾
(台北中央社)台湾で鉄道員として働きながら創作活動にいそしみ、「鉄道詩人」と呼ばれて親しまれた作家、故・錦連さんが残した手書き原稿や写真、メモなどが6日、錦連さんの家族によって台北市の国家鉄道博物館準備処に寄贈された。同準備処は、博物館の収蔵品の多様性がより豊かになったとしている。 錦連さんは本名陳金連。日本統治時代の1928(昭和3)年に生まれた。中部・彰化県の彰化操車場の運輸主任だった父親、陳園さんらの影響を受け、43(昭和18)年に彰化駅で電報を取り扱う職員となり、仕事の合間に創作活動に従事した。82年に当時の台湾鉄路管理局を退職してからは、より熱心に創作活動に取り組み、2013年に亡くなるまで、詩だけでなく、激動の時代を生きた自身の物語や見聞きしたことを記したエッセーなど多数の作品を発表した。 錦連さんゆかりの品を寄贈したのは、妻の王玉梅さんと長女の陳嘉恵さん。この日は同準備処で関連の式典が開かれた。 同準備処の鄭銘彰主任は、22年に嘉恵さんの賛同と支援の下で協力覚書を交わし、錦連さんと鉄道文化研究の第一歩を踏み出したと説明。事前に受け取っていた文献のデジタル化を進めているとし、現在準備中の鉄道文化に関する常設展で紹介するとした。また特別展の開催や関連書籍の出版、専門家や専門機関との連携研究を通じ、錦連さんと鉄道が織り成した感情や記憶を伝えたいと語った。 (王宝児/編集:齊藤啓介)