医療保険大手CEO銃殺事件 SNSで容疑者支持の声 アメリカの医療保険に対する市民の怒りも背景に?
◆アメリカ国民が医療保険会社に持つイメージは?
保険会社のCEOの命が狙われた今回の事件。保険会社の実態に不満や怒りを感じていた人々が、一斉に自分の体験などを投稿しています。ラボのZ世代たちは、噴出した社会のひずみをどう感じているのでしょうか? ノエ:保険会社は悪だからね。 メアリー:まったくね。こういう話を聞くたびに仕事を変えたくなるよ。 ノエ:そうか、メアリーは保険の仕事をしているんだよね。 メアリー:そう。すごく嫌なんだけどね。 ノエ:どんな仕事なの? メアリー:私の仕事は保険料の計算だけど、何の決定権もないよ。誰に何が支払われるかは決められない。ニュースで見た限り、ユナイテッド・ヘルスケアは最大手だけど、保険料請求の支払いをよく拒否する、典型的で最大の保険会社みたいね。たしか、全請求の3分の1が拒否されていると書かれていたよ。 他の会社のことは知らないけど、この会社はAIの技術を導入し、診療を承認するか拒否するかをAIが決めているんだよ。AIを使うことで、より多くの案件を拒否することができるようになったらしい。 つまり、保険金を支払わなくてもいいってこと。払わなければ払わないほど、会社の利益になるってことだよ。 ノエ:他の保険会社のこともニュースで見たよ。ある大きな保険会社だと、手術が長引いた場合、超過した分の麻酔の料金は保険から支払わず、自己負担にしてもらうと決めたらしい。 メアリー:そのことなんだけど、この暗殺のニュースのあとすぐにとり下げられたよ。 ノエ:そうなんだ!? つまり僕たちはまだ生きていられるってことだね! 暗殺されたCEOの保険会社では、保険申請された医療の全体の3分の1を却下しており、他社と比べても極めて高い数字です。こうしたデータを各保険会社は公にしておらず、調査会社が独自に収集した資料を元にしています。 こうした保険会社の力は本当に強く、アメリカで誰がどんな医療を受けられるかどうかを決めるのは、本人でも医師でもなく保険会社だと言われるほどです。今回、暗殺されたCEOの年俸は15億円だったのも、保険会社への怒りを加速させる要因だったのかもしれません。 どんな理由であれ、殺人は正当化されるものではありません。一方で、今回の事件をきっかけに、くすぶっていた問題が表面化したのは間違いなさそうです。「これが、これから大人になるアメリカZ世代が生きていかなければならない社会だということでもあります」とシェリーはコメントし、話題を締めくくりました。 (interfm「NY Future Lab」2024年12月11日(水)放送より)