USスチール買収、「審査結果待ち」とホワイトハウス 日鉄副会長が訪米
Jasper Ward Alexandra Alper Ritsuko Shimizu [11日 ロイター] - 日本製鉄でUSスチールの買収計画を担当する森高弘副会長が今週、訪米していることが分かった。広報担当者が11日、明らかにした。予定通りのタイミングで、買収への理解を促進するため現地で関係者らに会うとしている。 同買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)が国家安全保障の観点から審査を継続しており、月内に結果が出る見通し。ホワイトハウスの報道官は10日、審査結果を踏まえてバイデン大統領が是非を判断を決定すると説明した。バイデン氏は買収に依然として反対の立場だとも述べた。 同報道官は「(バイデン)大統領は当初から、USスチールが国内で所有され、運営されることが不可欠との立場だ」とした上で、「大統領はCFIUSの手続きがどうなるか引き続き見守る。CFIUSの勧告は受け取っていない。手続きは現在も進行中だ」とした。 ブルームバーグは先に、バイデン氏が安保上の懸念を理由に買収を正式に阻止する計画だと報じていた。 CFIUSは今月22日までに計画を承認するか、阻止するか、審査期間を延長するかを決定する必要がある。CFIUSはロイターの取材にコメントを控えた。 日鉄はブルームバーグの報道を受け、「政治が真の国家安全保障上の利益に勝る状態が続くことは、適切ではない」とのコメントを発表した。「米国の正義と公正さ、および法制度を信じている」とし、「公正な結論を得るために、今後、USスチールとも協働し、あらゆる手段を検討し、講じていく」とした。 USスチールは「地域社会、顧客、投資家、従業員はこの取引を強く支持しており、われわれはこの取引と法の支配の順守を擁護し続ける」との声明を出した。 バイデン大統領が買収阻止を決定した場合、日鉄とUSスチールは訴訟を起こす構えだ。 10日の米株式市場でUSスチールの株価は一時22%急落し、10%安で取引を終えた。取引が一時停止になる場面もあった。 買収計画を巡っては、石破茂首相がバイデン氏に書簡を送り、承認するよう求めたことが分かっている。 林芳正官房長官は11日午前の会見で、買収が困難になる可能性について問われ、「個別企業の経営に関する事案」としてコメントを控えた。一方、日米相互の投資拡大を含めた経済関係の強化は互いにとって不可欠だとし「引き続き日米間で幅広く議論を行っていきたい」と語った。 11日の東京市場で日本製鉄の株価は前日比12円安の3055円で午前の取引を終えた。 ※キャプションを更新し再送します。