クラウド・ファンディング資金調達成功ポイントは? ── 大阪商工会議所がワークショップ
中小企業や個人事業者の新たな資金調達手段として脚光を浴びる「クラウド・ファンディング」をテーマとするワークショップがこのほど、大阪市中央区の大阪商工会議所で開かれた。クラウド・ファンディング事業の振興育成を推進する大阪府および府の委託先であるクラウド・ファンディング紹介事業者2社と、同会議所が連携して企画したもので、多様な業種の約40社が参加した。参加者はクラウド・ファンディングの仕組みや資金調達成功のポイントなどの説明を受けた後、グループに分かれて、手持ちのアイデアをプロジェクト案にまとめる体験ワークに臨んだ。
ネットを活用して少額の出資を募る
クラウド・ファンディングの特色はインターネットの活用。事業者と一般の出資者をインターネットで結び付け、不特定多数から少額ずつ事業資金を、直接集める仕組みだ。金融機関からの借り入れが容易ではない中小企業や個人事業者には朗報だろう。地方自治体では、大阪府が2013年から、全国に先駆けてクラウド・ファンディング事業の振興育成に取り組んでいる。 クラウド・ファンディングには、出資者に対するリターンの形態により、リターンのない「寄付型」、金銭的リターンを伴う「投資型」、プロジェクトが提供するサービスや物品を購入することで支援を行う「購入型」に分類される。中小企業が利用する場合、購入型や投資型が一般的だ。出資を募る専用ウエブサイトで、プロジェクト情報を公開。数十万円から数百万円の目標金額を設定し、ひと口千円程度から小口出資を募集する。出資するのは、サイトを通じてプロジェクトを評価した市井の個々人だ。 百万円集まった場合、ウエブサイト運営会社やカード会社の取り分となる15%程度の手数料を除いた85万円前後の資金を、事業者が取得できる。製品が未完成の計画段階で、試作品開発費を募集することも可能で、製品化へ弾みをつけることができる点が大きな魅力だ。
商品のストーリーや熱意をしっかり伝える
ワークショップ前半では、府商工労働部中小企業支援室が、クラウド・ファンディング活用サポート事業の概略を説明した。クラウド・ファンディングによる13年の資金調達額は、世界市場で5000億円程度。欧米が先行していたが、今年に入って日本でも動きが加速。最新情報によると、府のクラウド・ファンディングによる資金調達額は11月時点で、23件1億1600万円あまりに達しているという。 府の説明の後、府から委託クラウド・ファンディング事業者に指定され、専用ウエブサイトを運営している大阪セキュリティーズ株式会社と株式会社きびもくの代表者が、資金調達の実例をあげながら、プロジェクト成功のポイントなどを紹介した。 大阪セキュリティーズの代表者は「サイト上で人気を得るには、料理なら美味しいと直観に訴える表現力が必要。事業の良し悪しや採算性以上に、商品の持つストーリーや作り手の熱意をきちんと伝えられかが、ポイントになる」と、ウエブ上での資金調達の特色を指摘した。 そのうえで「多くの出資者は事業への共感から投資している。商品に愛着をもっているので、自主的に営業担当者や商品の共同開発者になって協力を惜しまない。見本市を開く際、アルバイトスタッフとして活動してもらえる」と、出資者が幅広くサポートしてくれる利点を強調した。出資者たちが頼もしい応援団になってくれるわけだ。 後半は参加者が数名のグループに分かれ、委託事業者スタッフの助言を得ながら、アイデアのプロジェクト化に挑戦。「プロジェクト案の具体化」「共感を集める企画を練る」「プロジェクト案のブラッシュアップ」などの手順で、知恵を絞った。