クラウド・ファンディング資金調達成功ポイントは? ── 大阪商工会議所がワークショップ
東大阪のものづくり力を全国へ発信したい
先行する企業例を取材した。東大阪市のガス調理器具メーカー東方工業は現在、きびもくが運営するクラウド・ファンディングのウエブサイト「キッカケ」で、目標金額100万円で資金調達を実施中だ。 部品メーカーが多い東大阪市にあって、同社は自社ブランドを掲げる異色の完成品メーカー。ミニコンロ「ななかまど」で大阪商工会議所優秀賞を受賞した後、無煙ロースター「けむとうなかぁ~」を開発。特殊な炭と遠赤外線効果によって、肉や魚を柔らかく、けむりを出さずに焼き上げることができ、購入者の口コミなどで販路を伸ばしてきた。 取引先の飲食店「鮮酒鮮味工房 若狭谷町店」(大阪市中央区)は「とても評判がいい。ロースター料理を目当てに来店する常連客がいるほど」と太鼓判を押す。飲食店に対してはロースター本体をレンタル方式で提供するため、飲食店は初期投資が少なくて済む。 同社では資金調達した100万円を販売促進に投入する予定。小山雅也社長は「子育て世代の女性などの新しいファンを獲得するとともに、東大阪のものづくり力を全国へ発信したい」と意気込む。
しっかり育成し大阪経済の新たな活力源に
ワークショップを企画した同会議所中小企業振興部は「中小企業の資金調達に新しいメニューが増えた。従来からの助成制度などと組み合わせることで、ビジネスチャンスをものにできる可能性が一層広がる。これからの経営指導に生かしていきたい」と話す。 府商工労働部中小企業支援室は「金融サービス分野で、東京一極集中に歯止めがかからない。将来性の高いクラウド・ファンディングの健全な成長を、スタート時点から積極的に支援し、大阪経済の新たな活力源としたい」としたうえで、「クラウド・ファンディングを活用して、大阪から新しいヒット商品が生まれることを期待している」と付け加える。 ワークショップ終了直後、この日参加者から提案されたプロジェクト案の一部が委託事業者の目にとまり、プロジェクト化実現に向けた検討会議の開催が、その場で決まった。プロジェクト案は老舗飲食店の商品力を駆使して、従来にない大阪みやげの全国発売を狙うものだ。老舗と最新の資金調達システムによる「新旧コラボ」で、大阪食文化のブレイクスルーをめざす。 クラウド・ファンディングの詳しい情報は、大阪府や大阪セキュリティーズ、きびもくの公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)