【プロ野球DeNA対広島】4回、2点適時二塁打を放つDeNA・桑原将志 ＝横浜スタジアム（撮影・萩原悠久人）

DeNAは1日、横浜スタジアムで広島を3－1で下した。残り5試合で1勝すれば3年連続のクライマックスシリーズ（CS）進出が確定する。 二塁上でDeNAの桑原将志は不思議そうに首をかしげていた。0－1の四回1死満塁。森の初球の落ちる球を打った瞬間、打球を見失っていたという。バットの先にかろうじて当たった打球は、右翼線際で弾んでいた。「どこ行った？って感じ。もう一回打てって言われても多分無理」と苦笑する一打が、逆転の2点二塁打になった。 「日ごろの行いがいいんじゃないですか」と三浦監督がたたえた殊勲の31歳には、力を与えてくれた物があった。それは、シーズン終盤で故障離脱を余儀なくされた山本祐大の打撃用手袋。9月15日の広島戦で山本が負傷した後、「ちょうだい」と何個か譲り受けたという。 プロ7年目、26歳の今季、正捕手の座をやっとつかんだ後輩の無念さは、深い言葉を交わさなくたって分かる。「ずっと努力してきた姿を見てきたので。今まで彼がチームを引っ張ってきてくれたし、最後まで戦いたかったっていうのは表情を見ても伝わった。彼の分も頑張ろうっていう思いでした」 もらったうちの一つが破れて使うのをやめた日もあったが、その試合は無安打だった。「別にゲン担ぎってわけじゃないんですけどね。やっぱ祐大のじゃないとあかんかなって」。祐大パワー？　もあってか、同16日以降の打率は3割6分1厘。終盤戦で存在感を放っている。 CS進出へ。3位を争う広島との最後の直接対決を制し、CSはグッと近づいてきた。「大きな1勝」ではあるが、「戦いはまだ終わってない」と手を緩めるつもりはない。「もう腹くくってやるだけだと思います。手袋、ボロボロになるまで使いますよ」と桑原の言葉に力が入る。仲間の思いも握りしめて、最後の踏ん張りを見せ、戦っていく。（川峯千尋）