「女性であれば誰でもよかった」同僚の飲み物に体液を混入、20代男性に執行猶予付き有罪判決
●「同じ女性として、同じ親として」母親が涙ながらに謝罪
弁護側の情状証人として、被告人の母親が法廷に立った。 冒頭に被害者への思いを聞かれると「精一杯、謝罪をいたしますが、忘れたくても一生残るようなことをしてしまったと思います」と涙を流した。 被告人が供述する家でのストレスに母親も気づいてはいた。父親の物の言い方が、とても厳しく「息子がおかしくなるのでは?」と思うほどだったという。 元々、被告人は自分からあまり言葉を発するタイプでなかったため、積極的に会話を続けていたものの、特に変化を感じられないまま、事件の報せを受けた。 母親は、「私が気づいていれば、どうにかできたのに」と何度も後悔と謝罪の言葉を口にし、同じ女性として被害者に、そして同年代の子を持つ同じ親として被害者の両親に向けて述べていた。
●「不同意性交等罪に近いと思っています」
被告人質問では弁護人から冒頭、自身の認知の歪みについての認識を問われた。 弁護人「被害者にとっては今回の事件は、性犯罪だと思っています」 被告人「相手が望まないことを強要した不同意性交等罪に近いと思っています」 このほか、「普通でないことをされていることに興奮する」、「特定のジャンルに興味があった」、「女性を道具のように考えていた」など、自身について語った。 自身の認知の歪みだけでなく、被害者の心情の認識についても指摘された。 突然、被害者になった精神的ショック、自身が狙われているのではないかという恐怖、個人情報の流出による今後の不安。被告人は一つひとつの指摘に、考えが及んでいなかったことをただただ謝罪していた。 犯行時の心理状態は、あくまで父親からの支配的関係性であること以上に言及はされなかった。ただ、それが他者に被害を与える理由にならないとも指摘され、被告人もそれを肯定していた。 保釈されて後、被告人は性加害犯罪の専門機関で治療を受けている。そこで受けたアセスメントテストによると、「ストレスを過敏に感じやすい」という特性の他に、「女性への性加害について、犯行行為を矮小化して考える傾向がある」との結果がでたという。この結果に基づき、今後最低1年間は認知行動のプログラムを受講することを誓約した。