「女性であれば誰でもよかった」同僚の飲み物に体液を混入、20代男性に執行猶予付き有罪判決
●被害者「お金を払ってもらったが、それで軽くなるのはおかしい」
被告人質問などの内容を踏まえ、被害者2名の意見陳述(検察官による代読)が行われた。 【被害者A】 飲料に違和感を覚え、そのまま飲料メーカーに送付したところ、尿素が混入しているという回答を得た。犯人を捕まえたいと、自身でカメラを設置して、同僚が犯人であると知って酷くショックを受けた。 発覚当初は、家族などに心配をかけたくない気持ちが強かったが、動機が性的なものと知り体調を崩した。吐き気、めまいなどの症状が続き、大学の授業中に突然泣き出すこともあった。それでも、心配されないよう明るく振る舞った。 塾講師として、生徒の指導に向き合いたいと思うも、事件現場でもある塾へ行くと考えると苦しい気持ちになった。しかし、通常より1時間早く出勤し、心落ち着かせる時間を作った。負けたくない気持ちがあった。しかし、精神的な負担が重なり、その後仕事を休むことになった。 初公判の様子は弁護人から聞いた。思ったより反省していると感じ、被害者の心情も学習しているとは思った。被告人の顔を最後に見たのは、塾の中で先輩と談笑しながら笑顔の様子。それだけに、怒りもあるが残念な気持ちがある。 被告人の弁償に合意はしたが、今でも近くにいないか気になってしまう。お金を払ってもらったが、それで軽くなるのはおかしいと思う。 【被害者B】 初公判の様子を弁護人から聞いて、被告人は思ったよりストレスがかかっていたことを感じた。だからといって、許せるものではない。(同じ被害者の)Aが気づかなければ、そのままだったと考えると恐怖。 職場に行くと思い出すので、塾はやめた。受験を控える高校3年生に罪悪感を覚えている。塾長は悪くないのに、何度も謝ってきた。事件以降、アルバイトはできていない。 被告人の弁償に合意したのは、何かしらの方法で償って欲しいと思ったから。しかし、許すような一文は入れていない。相応の処罰を与えて、二度と関わらないで欲しい。
●被害者に向き合う姿勢を継続できるか
結審を前に、被告人による最終陳述が行われた。 「被害者からの意見陳述を聞いて、改めて自分がとってしまった行動が許されないことであると、ただただ申し訳なく思っている。性加害プログラムに取り組み、その治療が終わっても傷つけた被害者がいることに一生向き合っていきます」 ゆっくりと読み上げられた「懲役2年・ 執行猶予4年」という判決主文、および判決の理由に一つずつ頷きながら聞いていた被告人。判決の中で、犯行は卑劣、悪質とされ、精神的被害から被害結果は大きいと言及された。被害者と一生向き合うと誓約した被告人は、どのような思いで判決を聞いていたのだろうか。