他人から“不毛なマウント”を取られずに済む人の特徴
SNS上で繰り広げられる「マウンティング合戦」。直接的なものから、自虐に見せかけてさりげなく立場の高さや生活の充実ぶりを匂わせる「ステルスマウンティング」まで、さまざまな事例が日々観測されている。 本稿では、3万以上の事例を収集・分析してきたマウンティング研究家がその知見をまとめた『人生が整うマウンティング大全』より、不毛な競争から自由になるために、マウンティング欲求を味方につける方法を説いた一説をご紹介する。 ※本稿はマウンティングポリス(著)『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)を一部抜粋・編集したものです。
「他人と比較するな」論に振り回されるな
人間というのは、ついつい自分と他人を比較してしまう生き物である。この意見に対して、「自分と他人を比較するのではなく、過去の自分と現在の自分を比較しよう」といった助言がなされることがある。筆者自身も、知人から相談を受けた際に似たような回答をしたことがある。 この類のアドバイスは、一見すると建設的で、もっともらしく聞こえる。しかし、現実問題として、自分と他人を比較せずに「過去の自分と現在の自分を比較する」などといった高度な芸当を成し遂げられる人がどれほど存在しているだろうか。 それに「他人ではなく過去の自分と比べよう」というアドバイスを正しく理解し、実行することができるのであれば、私たちはとうの昔にマウンティング欲求から解放されていることだろう。 そう考えると、「自分軸を持つ」「他人と比べない」は、単なる机上の空論にすぎないのかもしれない。私たちは、自身の価値基準よりも他者との比較を優先してしまう性質を生まれながらにして備えている。人間は何かと比較しないと幸福感を感じられない生き物なのだ。
マウンティング欲求を理解し、うまく使いこなす
自分らしく満ち足りた人生を送るためには、自身に内在するマウンティング欲求を正確に理解し、意識的にコントロールすることが必要である。 一方で、人間の行動の大半はマウンティング欲求によって支配されており、マウンティング欲求から完全に逃れることは不可能である。そもそも、人間が社会的な動物である以上、私たちがマウンティング欲求を持つこと自体、ある意味で仕方がないことと言える。 ゆりかごから墓場まで、マウンティングは続いていく──これは我々に課せられた、どうしようもない「宿命」なのだ。 ただ、だとしたら、マウンティング欲求を一方的に否定するのではなく、むしろ肯定的に捉えることによって、人生を切り拓くための武器として有効活用したほうが得策なのではないだろうか。 マウンティング欲求を自覚できずに振り回されてしまうような事態は、できる限り避けるべきだ。しかし、マウンティング欲求は、うまく使いこなすことさえできれば、私たちの人生におけるかけがえのない友人にもなりうるのだ。