期待の社員がなぜ失速? 「不幸な」ミスマッチ防ぐ策 中途採用で役立つ「リファレンスチェック」のやり方
■面接巧みな応募者ほどミスマッチを生む こうした本人の仕事の進め方やスタイルも、入社前の面接で把握できればいいのだが、そこまでつかみきれないことが多い。 なぜなら転職を複数回、経験している応募者の中には、面接での受け答えが巧みな人も少なくないからだ。 面接上級者ともなれば、応募先企業の職務内容に合わせて、変幻自在に自身の経験値と重ね合わせたアピールができるし、どんな変化球の質問にも小気味よく返答してくれる。
「まさにうちの会社にぴったりだ!」と即採用したくなるのだが、Aさんのケースのようにお互いにとって不幸なミスマッチを起こさないためにも、事前の「リファレンスチェック」は必要だと考えている。 リファレンスチェックとは、応募者の職務経歴や実績に虚偽がないかどうか、本人の同意を得たうえで前職の上司や同僚、部下などに確認できる仕組みのこと。 前記事でもお伝えしたが、リファレンスチェックは経歴の確認だけでなく、その人の「仕事の進め方やスタイル」を深く知るためにも大いに役立ってくれる。
リファレンスチェックを行うタイミングだが、私自身の例で言うと、応募者がいよいよ最終面接に進むという段階で行っている。 最終面接をクリアし、ほぼ内定が確定した後にリファレンスチェックを行うケースも多いが、万が一、それで落とすことになった場合、リファレンスチェックを受けてくれた応募者の関係者(前職の上司や同僚、部下)の心にも、少なからず影を落としてしまう。 「ほぼ内定が確定していたのに、自分のコメントのせいで、彼(彼女)は落ちてしまったのではないか……」と、罪悪感を抱かせてしまうのは忍びない。デリケートな部分だけに、ここは人事としても気を遣うところである。
■プロの緻密なリファレンスチェック リファレンスチェックは専門の代行会社に委託しているが、そのリサーチ力は目を見張るほど緻密である。 応募者の前職あるいは現職の上司、先輩・同僚、部下の三者に各1時間程度のインタビューを行い、その結果がA4用紙10ページ以上の情報量で送られてくる。 応募者が自己申告している経歴や仕事内容、実績に相違はないか? 三者それぞれに確認するほか、「本人の仕事の進め方」「強み・弱み」「職場での上司・同僚・部下への接し方」についても、事細かにつづられている。