かすれ模様と柔らかな風合い 豪雨で打撃を受けた伝統の「久留米絣」 デパートのイベントが復興の力に
福岡を代表する伝統工芸品「久留米絣」。もんぺや羽織など普段使いできるアイテムを揃えた販売会が福岡市のデパートで始まりました。去年7月の大雨で被災した織元も参加していて、復興支援にもつなげたい考えです。 【写真で見る】被災から復興 久留米絣大博覧会
国の重要無形文化財に指定されている
福岡市の大丸福岡天神店で31日から始まった「久留米絣大博覧会」。 江戸時代から続く日本三大絣の一つ「久留米絣」の魅力を伝えようと、織元と問屋の合わせて21社が参加しています。 RKB 橋本由紀アナウンサー「久留米絣のワンピースです。風通しが良く着心地もとても良いです。さらにこうしたかわいらしいバッグと合わせると素敵かもしれません。」
ヒットアイテム「Monpe」
今年のテーマは「伝統×普段着」 会場には久留米絣のもんぺや羽織、雑貨など、普段使いできるアイテムが販売されています。 RKB 橋本由紀アナウンサー「すっかり定番となった「もんぺ」カラーバリエーションも豊富です。また今年はこのもんぺに羽織を合わせるスタイルも提案しています。」 リピーター急増のヒットアイテム「Monpe」は、様々な色柄やシルエットで3000本以上用意されました。 訪れた人「レンコンの柄が好きです。涼しいし、とても気に入ってます。」「柄が魅力ですね。グラデーション。去年も買って、普段履いています。」 会場には福岡県の服部知事も訪れました。 福岡県 服部誠太郎 知事「本当に軽いし、風通しも良いし、酷暑の中で良い生地だと思いますね。」
昔ながらの技法を守る工房
福岡県南部の筑後地方一帯で製造されている久留米絣は、1957年に国の重要無形文化財に指定されました。 久留米市田主丸町竹野にある工房、「藍生庵」です。 機械織りや化学染料などが導入される中で、手織り・手括り・本藍染といった昔ながらの技法を守り続けています。綿糸を先に染めてから織ることで、微妙なズレが生じて出来上がる独特のかすれ模様と綿素材ならではのやわらかな風合いが久留米絣の特徴です。
去年の豪雨「土砂と泥水 全部廃棄した」
藍生庵 松枝崇弘さん「このラインまで泥水が来て一面埋まっていました。かめの中にも全部泥水が入ってしまった。染料も全て廃棄しました。」 去年7月の記録的な大雨で、久留米市田主丸町の竹野地区には大規模な土石流が発生。 10人が巻き込まれ、70代の男性が死亡しました。 藍生庵の作業場にも大量の土砂と泥水が流れ込み、染料を入れるかめや織機が被害を受けました。 藍生庵 松枝小夜子さん「もう言葉が出ませんでしたね。頭が真っ白になってしまって。みなさんで床を拭き上げる作業を手伝って下さったり、少しずつ片付いていきまして今年1月にやっと復旧しました。ここまで来られたのは、みなさんのおかげですね。」 藍生庵 松枝崇弘さん「自分たちの仕事ができるということが、いかに幸せなことかと感じています。」
今も復旧できない工房も
同じく大雨で被災した福岡県広川町にある森山絣工房です。 浸水は床上90センチに達した場所もあり、工房は稼働停止を余儀なくされました。 森山絣工房 森山典信さん「工事しないといけないので、全然再開はできていない状態です。総工費は7000万ほどになっていまして、2025年3月を再開目処に考えています。常連のお客様とか、特に福岡市内に住んでいる高齢の方とかたくさんいらっしゃって、コミュニケーションの場をつくるためにも大丸に出店するのはすごく大きい。」 大雨からの復興の思いも込めた「久留米絣大博覧会」は、8月5日まで開催されています。
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