ビートルズから新しい学校のリーダーズまで! 開館60周年!「ライブハウス武道館」へようこそ!
■「聖地」から「ライブハウス」へ 80年代には、武道館が「アイドルの聖地」にもなる。マイクを置いてステージを降りた80年の山口百恵の引退コンサートはその後もたびたび語り継がれた。82年に初公演を開催した松田聖子は女性歌手としての最多公演記録を保持している。 こうして、8000人から1万人を収容する大規模なコンサート会場としてだけでなく、さまざまな象徴的な意味合いを持つようになった武道館。八角形の形状、屋根の上にある玉ねぎ形の擬宝珠も特徴だが、それを世に広く知らしめたのが爆風スランプ『大きな玉ねぎの下で』。 85年、バンド初の武道館公演を機に作ったこの曲がヒットしたことで「武道館=玉ねぎ」のイメージも広まった。 86年にはBOØWY初の武道館公演で曲の間奏中に発した氷室京介の「ライブハウス武道館へようこそ!」という言葉が名言として広まり、多くのミュージシャンにとって「武道館=目指す憧れの場所」としてのイメージが定着する。 88年には東京ドームがオープンし、BOØWYの解散ライブや美空ひばりの「不死鳥コンサート」など大きな話題を呼んだ公演の数々が行なわれたことで、大規模ライブ会場としての象徴的な意味合いはそちらに譲られることになる。 それでも、90年代にはSMAPやKinKi Kidsがデビュー前に武道館公演を行なったり、00年代には藤井フミヤのカウントダウンライブが年末の恒例となるなど、特別な意味合いを持つ公演の数数が武道館で行なわれてきた。 10年代にはONE OK ROCK、サカナクション、ももいろクローバーZなどが初の武道館公演を開催。若手ロックバンドだけでなくアイドルグループにとっても「登竜門」になった。さらには14年に結成30周年を迎えた怒髪天の初武道館公演が盛況となり、40代以上のベテランバンドによる武道館公演も話題となった。 そのバトンは15年のフラワーカンパニーズ、17年のTHE COLLECTORS、Theピーズに受け渡され、目覚ましいヒットはなくとも地道にライブハウスで活動を続けてきたバンドたちにとって、武道館は長く愛してきてくれた全国のファンや仲間たちとそのキャリアを祝う「晴れの舞台」となった。