金融機関のコンプラ対応コストは2,000億ドル以上 SedricなどコンプラAIがもたらすコスト削減効果とは?
さまざまなプロセスを自動化、Sedricの主要AIソリューション
Sedricは、金融機関のコンプライアンス業務を効率化し、リスク管理を強化する複数のAIソリューションを提供している。その主力プロダクトとなるのが「AI Reviewer」と「Real-Time Agent Assistant」だ。 「AI Reviewer」は、顧客とのやり取りを100%自動分析し、コンプライアンスやパフォーマンスの問題を即座にフラグ付けする。これにより、コンプライアンスリスクの管理、回収率の向上、組織全体の時間節約を実現する。同社によると、AI Reviewerの導入により、品質保証(QA)の効率が4倍向上し、98%の精度でリスクを特定できるという。 AI Reviewerの強みの1つが多言語対応している点だ。40以上の言語で会話を正確にモニタリングし、英語に翻訳する機能を持つ。これにより、QAチームは外国語でのやり取りも確実に把握することが可能となる。 一方「Real-Time Agent Assistant」は、人間のエージェントがリアルタイムで通話をスムーズにナビゲートできるよう支援し、コンプライアンス、パフォーマンス、顧客満足度を同時に向上させることを目指すシステムだ。この機能により、回収率が30%向上し、コンプライアンスフラグが45%減少、さらに新人エージェントの戦力化までの時間を50%短縮できると報告されている。 Real-Time Agent Assistantの特徴は、動的チェックリスト、即時プロンプト、スクリプトテンプレートを提供し、エージェントが顧客との関係構築と回収の最適化に集中できる環境を整える点にある。また、各エージェントの課題や経験レベルに基づいてパーソナライズされたガイドラインを提供するなど、人材教育とエージェントの定着率向上を促進する機能/役割も備わっている。Sedricのプラットフォームがコンプライアンスと運用サイクル全体をカバーする統合システムとなっている点も見逃せない。AI SummarizerやAI Coachなどの機能と連携し、エージェントのコーチング機会を特定したり、包括的なレポートを自動生成することが可能という。 冒頭でも触れたが、金融機関が支払う年間のコンプライアンスコストは2,000億ドルを超えている。SedricのようなAIコンプライアンスソリューションは、このコストをどこまで下げることができるのか、今後のROIに関する報告が気になるところだ。
文:細谷元(Livit)