「“反対されるもの”にしか興味がない」賀来賢人が俳優・作り手として見据えるビジョン
シリアスな役で女性視聴者を惹きつけたかと思えば、続く作品ではコミカルな役柄で変顔を連発していたり。作品ごとに見せる役のレンジの広さに定評がある賀来賢人だが、近年は“作り手”という側面も加わり、ますます目が離せない存在となっている。 そんな彼が参加したAmazon Originalドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』が10月25日に世界独占配信された。言わずとしれた同名人気ゲームを基にオリジナル脚本でドラマ化した作品であり、彼が演じるのは竹内涼真演じる主役・桐生一馬の幼馴染である錦山彰。豪華キャストでも話題となっている今作の撮影現場の話から、今彼が思っている“今後”について、幅広く話を伺った。 【撮り下ろし多数】Netflix『忍びの家 House of Ninjas』ではプロデューサーを務め、映像制作会社も設立するなど“作り手”としても活発な賀来賢人
今回は「新たな解釈」という点が大きかった
──キャスト発表時に「最初はオファーを断ろうかと思っていた」とお話されていましたね。 お話をいただいたときは、内容は知らされずに「有名なゲーム原作の実写化の話があるんですけど、どうですか?」というオファーだったんですよ。まだ「龍が如く」であるということはその時点では明かされなくて。でも、(原作がある作品の)実写化のお仕事自体は僕もこれまで何度も経験していますから、ハードルの高さを知っているわけです。生半可な気持ちでは参加できないんですよ。それもあって最初は「お断りしようかな」と思っていたんですけど……話が進んでいくと「龍が如く」だということがわかり。監督やプロデューサーの方々と話していたら、今回は「龍が如く」ではあるけれども新しいバージョンを作りたいんだ、新たな解釈のドラマ『龍が如く』を作ってほしいというお話で、これは面白いなと。題材もいいですし、ストーリーも僕が演じる錦(錦山彰)というキャラクターがすごく膨らんでいたんですね。それでやらせていただくことを決めたんです。日本とアメリカのチームで、この規模感ですから、「どう作るんだろう!?」という興味もありました。 ──逆に、有名なタイトルだからこそのプレッシャーはありませんでしたか? そこに関しては、今回は「新たな解釈」だという点は大きかったですね。実写化作品の場合、“実写化する意味”みたいなのをいつも考えるんです。この作品でも、世界観やストーリーを楽しむならゲームをやればいいわけですから。新しい観点やストーリーで「龍が如く」のファンの人にも、そうではない人にも楽しんでもらえるようなものを作る、それがテーマだったので。 ──錦という役に関しては、ご自身としてはどう演じていこうと思われましたか? 演じる時代が1995年と2005年、2つあるのがまず面白いところだなと。その2つの時代でのキャラクターが錦に関しては全く逆で、何でこうなっていったかが徐々にめくられていく、そのストーリーの作り方も面白かったですし。あと、錦ってすごく“可哀想な人”なんですよ。そんなところにも惹かれました。 ──2つの時代のキャラクターの差異はどう意識していましたか? ビジュアルもそうですし、95年はエモーショナルで向こうみずで、ただ野心だけはある。でも、一方で、ずっと一馬には嫉妬していたという部分もあり。それが徐々に彼の歯車を狂わせていって、最終的に彼を能面のような男にしていく。そのギャップを立たせるというというのもそうですし、その過程で何かあったのかをすごく大事に作れば、錦っていうキャラクターは成功するんじゃないかな、と。そう思いながら演じていましたね。 ──描かれてない10年間に何があったかの設定もあると。 そうなんですよ。彼に何があったかという年表のようなものが作れられていて、そこは事前に監督たちとしっかりとすり合わせています。 ──桐生一馬役の竹内涼真さんとの共演はどうでしたか? 面白かったです! 実は今回初共演だったんですけど、すごく好青年だし真面目だし、役への向き合い方も素晴らしくて。「この作品を少しでも良くしよう」みたいな話は2人でよくしてましたね。 ──どのくらいそういう話をされたんでしょう? 僕も自分のことはほぼ話して、彼の方もそうだったんじゃないかな? というくらい、ずーっと話してましたよ(笑)。この現場の話、仕事の話、業界のこと……なんか本当に自然とウマがあって。普段の現場だと、そこまで喋る方じゃないんですよ。でも涼真君とはずっと喋ってましたね。 ──ウマが合った理由はどこだったんでしょうね。 真面目さ、ですかね。でも真面目すぎない“抜け感”もある。あと、現状に満足してない感じがすごくいいなあっていう(笑)。なんかスケールが大きいんですよ。日本の芸能界ってすごく特殊だと思うんですけど、彼はきっとそこにとどまらない人で、どんどん自分のやりたいことをやっていく人なんだろうなあと。そういう部分が僕にはすごく新鮮で。なかなかそういう人って出会えないんですよ。