ニデックが牧野フにTOB実施へ、買い付け価格は1万1000円
(ブルームバーグ): ニデックは27日、工作機械メーカー、牧野フライス製作所の株式を公開買い付け(TOB)で取得すると発表した。買い付け価格は1株当たり1万1000円で、26日の終値を42%上回る。買い付け代金は約2573億円。
ニデック発表資料によると、同社はTOBで牧野フを完全子会社化する計画で、買付予定数の下限は所有割合で50%となる1169万株に設定した。下限に達しない場合は買い付けを行わない。買い付け開始は2025年4月4日を予定している。
TOBについては、21年以降に工作機械事業を新しい事業の柱と位置付け、世界屈指の総合工作機械メーカーを目指す目的の一環だとした。
具体的な経営体制については、両社の企業価値をさらに向上させる観点から誠実に協議を行った上で決定するとしつつも、今回の発表に先立って牧野フに対して協議の申入れなどは行っていない。仮に牧野フの取締役会などの賛同が得られなくてもTOBの前提条件が全て充足された場合などには予定どおり着手する予定としており、敵対的買収の色彩を帯びている。TOBが成立した場合には、牧野フに取締役の派遣を検討するという。
発表を受けて牧野フ株は買い気配となっており、取引が成立していない。ニデックの株価は続伸し、一時前日比5.3%高の2875円まで買われる場面があった。
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、ニデックがTOBを仕掛ける場合、過去の実績があるだけに、それほど問題視されずむしろ相場に好材料になる、との見方を示した。企業が生産効率を高める動きという観点で、相場全体のムードを「押し上げる動きにつながっているのではないか」と話した。
積極的なM&Aで成長してきたニデックは近年は工作機械メーカーへの関心を強めており、これまで三菱重工工作機械、OKK、イタリアのPAMA S.p.A.、TAKISAWAといった機械メーカーを買収してきた。TAKISAWAについては賛同を得ないままTOBの実施を決める敵対的買収となっていた。
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Hiroshi Miyazaki, Momoka Yokoyama