最新ステルス機に“ズドドド機関砲”必要か? しかも「まっすぐ撃てない」!? それでも米空軍がこだわるワケ
もっともらしい理由「ドローン対策」
ではF-35Aの25mm GAU-22/A機関砲は、A-10の30mm機関砲に交代できる程度の威力はあるのでしょうか。25mm弾は従来の20mm弾より破壊力が大きいとはいっても、派手なイメージなど過度な期待はしない方がよさそうです。 そもそもA-10の30mm機関砲装弾数は1174発なのに対して、F-35Aの25mm機関砲の装弾数は180発しかなく、約3秒で撃ち尽くしてしまいます。装弾数を増やせばそれだけ重量も機内容積もかさんでしまう問題があります。実際のF-35AによるCAS任務には、主にスマート爆弾を使うことになっています。 ここまでコストとリスクを負っても、F-35Aに内部搭載型機関砲を搭載する意味は何でしょうか。 空対空ミサイル万能論の下、戦闘機に機関砲は不要と唱えられた時代もありましたが、現代ではバックアップ用として必要だという認識が一般的です。特に最近はドローン迎撃用としてのニーズも高まっているとされています。 しかし、そのトータルのコスパを見た場合、筆者(月刊PANZER編集部)は懐疑的です。 2024年4月にイスラエルのF-15Eが、イランのドローン迎撃で空対空ミサイルを撃ち尽くした後、機関砲を使いましたが、目標を撃墜できませんでした。そもそもF-35Aに内部搭載型機関砲を搭載する仕様は、ドローンが戦場を飛び交うはるか以前から決められていたことです。ドローン対応という名目は後付けに見えます。 アメリカ国防長官府運用試験評価局(DOT&E)は、F-35Aの実際の運用と機関砲システムの改善状況を検証できるデータが揃うのを待っているという立場です。空軍が内部搭載型機関砲に固執している様子もうかがえます。そこにはDOT&Eも踏み入れられない、「戦闘機乗りの華はドッグファイトにあり」というような戦闘機パイロット独特の強い「思い入れ」もあるようです。
月刊PANZER編集部