50代エステサロン経営者、閉店に伴い機器を売却も「売買契約書に不利な内容」を発見…。想定される“最悪の事態”と対処法【弁護士が解説】
「民法の規定」が重要
売買契約において、売主からこのように目的物の保証に関する条件を提示されることはよくあります。しかし、実際にどういった効果をもたらすのかをよく確認しないと、あらゆる不具合について無制限に保証しなければならなかったり、契約締結時には予想できなかったような損害が発生し、賠償額が高額になりすぎてしまうといった事態になりかねません。 売主としては、当然、幅広い原因による不具合を幅広く保証してほしいと考えるでしょうから、自身が買主の立場であって、売主が提示した契約書を元に契約を締結する場合には注意する必要がありますし、売主の義務が不相当に過大となっている場合には、契約交渉により妥当な文言に修正することを検討すべきです。 契約書を確認するポイントについては、(1)契約不適合が生じた場合に、どのような対応が求められているか(2)責任を負う期間はどの程度か(3)どういった損害について責任を負うと定められているかといった点を確認するとよいでしょう。 また、相手としても一定の場合には当然売主が責任を負うべきであると考えているでしょうし、実際に、壊れたものを売ってしまった場合など、売主が責任を負うべき場合もあることから、「こちらがなんの責任も負わない」といった形での交渉では、うまくいかない場合が多いです。 そこで、交渉の際に着地点として参考にするとよいのが、民法の規定です。契約不適合に関する責任について、契約書で何も定められていない場合は民法の規定が適用されることとなりますし、民法は、買主または売主の立場にはない、ある意味中立の立場から作られた法律であるといえることから、お互いにどうしても妥協できない点については「民法の規定による」とすることでお互い納得できることもあるでしょう。 すべての点において妥協をせずに契約交渉をすると、相手としても納得できないでしょうから、最低限譲れないポイントを決めて交渉に臨むことも必要です。例えば、「契約不適合の責任を追及できる期間はある程度幅広に認めてもよいけれど、損害の範囲は最低限にしたい」など、どういった点であれば妥協できるかをよく検討したうえで、交渉に臨むようにしましょう。 日吉 加奈恵 弁護士
日𠮷 加奈恵,ココナラ法律相談
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