50代エステサロン経営者、閉店に伴い機器を売却も「売買契約書に不利な内容」を発見…。想定される“最悪の事態”と対処法【弁護士が解説】
そういったトラブルを防ぐために、kazooさんが責任を負うべき場合を限定する必要があります。修正案としては、例えば「本機器が仕様書記載の品質・性能を著しく欠いているときは」などとして、責任を負う可能性がある場合を限定することが考えられます。 また、民法においては、契約不適合責任(売買契約において、商品に品質不良や数量不足などの不備(=契約不適合)があった際に売主が負う責任)を追及する場合、買主が不適合を知ってから1年以内に売主に通知する必要があるとされています(民法第566条)が、本契約書においてはそういった期間の制限もないことから、無期限に責任を負う必要がでてきてしまいます。 この点についても、例えば「本機器の納入後1年以内に乙が契約不適合を発見し、発見後○日以内に甲に通知した場合」には責任を負うといった限定を加えることが考えられます。 次に、後半部分の「乙は、甲に対し、本契約を直ちに解除し、すでに支払った代金の返還およびこれによる損害の賠償を請求することができる。」という記載についてです。民法の規定では、契約不適合があった場合、買主の請求に応じて目的物(本件では、本機器のことです)の修補や代替品の納入などで対応することも予定されていますが、本契約では、直ちに契約を解除して代金を返還するとされています。 本機器に不具合があっても、すぐに修理すれば問題ないといった場合でも、代金全額を返還しなくてはならないこととなってしまうため、「乙は、甲に対し、本機器の修補、代替品の納入をすることができる」としたうえで、「本機器の修補または代替品の納入では足りない場合には、乙が契約を解除することができる」といった定めにすることも考えられます。 さらに、「損害の賠償を請求できる」といった点についても、損害額が青天井とならないよう、一定の限定を加えることができるとよりよいでしょう。 例えば、「甲は、契約不適合により乙に生じた損害のうち、現実に発生し、かつ通常生ずべき損害を賠償する」というように、損害の範囲を通常損害(契約不適合があったことにより、通常生じると考えられる損害)に限定したり、「甲は、契約不適合により乙に生じた損害について、◯円を上限として賠償する」など、上限額を定めることも考えられます。
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