石川祐希(バレーボール男子日本代表 キャプテン)メン・オブ・ザ・イヤー・ベストチーム賞 ──“世界一”に挑んだ歴代最強チームの熱い夏
2024年のスポーツシーンを盛り上げたバレーボール男子日本代表が「ベストチーム賞」を受賞。キャプテンとしてチームを率いた石川祐希がパリ五輪の熱戦と激動の一年を振り返る。 【写真を見る】石川祐希がタキシードを着こなす!
潜在的なバレー人気を証明
パリ五輪のイタリア代表との激闘から10日、一時帰国した石川祐希はフレンズを務めるトッズのビジュアル撮影翌日、都内のスタジオに現れた。もともとは8月下旬にイタリアに戻る予定だったが、所属チーム「ペルージャ」の合流要請を受けて離日が早まったこともあり、スポンサーの広告撮影、極々限られたメディアの取材、関係者への挨拶まわりをこなす、多忙なスケジュールの隙間を縫っての取材となった。 当然、疲労困憊のスタジオ入りを予想していたわけだが、石川の足取りは軽やかであり、その顔は疲れを感じさせない(ように見えた)。夜には広告撮影を控えているそうで取材時間はタイトだ。そこでスタジオ入りした状態のまま、私服&ノーメイク状態でカメラチェックを済ませたのだが、照明の効果があるとしても驚きの透明感である。透き通った肌が間違いなく存在しているはずの疲れをかき消してしまったのか。 「ずっと肌のケアはしています。高校生くらいから家族の化粧水を使っていました。父親が単身赴任だったので、基本的に家にいるのは、母、姉、妹、僕。そんな環境もあって、自然と肌のケアをする習慣が身についていた気がします。大学に入って自宅を出てからは自分で化粧水、乳液、クリームを揃えました。その頃から積極的にケアをするようになりましたね。最近、『なんか、肌綺麗だよね』と、よく言われます」 少し照れながらもうれしそうに語る美容男子、石川祐希が主将として牽引するバレーボール男子日本代表は、今回「GQ MEN OF THE YEAR」のベストチーム賞を受賞した。2024年のネーションズリーグ・銀メダル獲得から、52年ぶりの金メダル獲得を期待されたパリ五輪まで、「日本のスポーツシーンを大いに盛り上げたベストチーム」というのが授賞理由だ。実際に、パリ五輪準々決勝のイタリア戦が競技別視聴率で1位に輝くなど、潜在的な人気を証明。1980年以来とも言われるバレーボール人気復活を牽引したと言っても過言ではない。 「ベストチーム賞を受賞できたことは大変光栄です。帰国してから、『良かったよ』とか『感動した』といった声をいただけたので、見ている人たちには面白い試合だったのかなと思いましたが、我々は結果がすべて。あと1点が届かずに負けてしまったあの試合は、今振り返っても非常に悔しいです」 あの試合とは、強豪イタリアから2セットを先取してマッチポイントを掴みながら1点が奪えず、大逆転負けを喫した、日本中が固唾を呑んだ準々決勝だ。「魂を抜かれた気がします」とは、翌朝、『GQ JAPAN』ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテントの石田潤が漏らした言葉だが、バレーボールという競技の魅力が詰まった好ゲームであったことは間違いない。 「(日本がマッチポイントを握った)3セット目の24対22から、自分のスパイクミスと、リベロ選手と自分との間にボールを落とすサービスエースを許し2失点。その2失点に自分が絡んでしまったのは事実。オリンピックならではの緊張感があったのかもしれません。焦っていたわけではないのですが、視野が狭くなって、1点に集中し過ぎていたように思います」 あの場面、どうすればよかったのか。石川はそんな質問に、NBAのスーパースターの名前をあげながら答えた。 「パリ五輪ではステフィン・カリー選手から学ぶべきものがありました。あのセルビア戦、緊張する場面で彼は笑っていたんです。1点決めたらほぼ勝ちが決まるという場面、カリーはそのシュートを打つ前に、楽しんでいるように見えました。むしろ、遊んでいたというか、心の底からバスケを楽しんでやっているな、というのを感じて。心の底から楽しんでプレイすることが自分にも必要だったのかな、と思いました。そういうメンタルでいられたら、視野も広がって、バレーボールを、試合を楽しめて、その結果として最後の1点につながったのかもしれない。結果からの考察として、反省できるところです」