今井アンジェリカ「私も“むくみにいい”とエクソソームを打った」 美容目的で“未承認薬”使用の是非 「病気と美容でスタンスが異なる」
モデルの今井アンジェリカも使ったことがあるそうだ。「私たちの間では、二日酔いに効くから飲みすぎた後に打った、とかがある。私も1回、友だちに『むくみにもいいよ』と言われて、気軽にやった。1年前ぐらいから身近になってきて、“みんなやっているから平気でしょ”という思考。未承認というのは初耳だった」と話した。
■「“新しいものが正義だ”という部分がある」
エクソソームのデメリットについて、青木氏は「どのくらいの効果があるのか、臨床によるエビデンスがない」と指摘する。「個々の症例はあるにはあるのだが、製剤自体が不安定で不透明だ。細菌で汚染された製剤を使ったりすると、敗血症で亡くなる可能性もある。死亡事故があったと、去年10月にある学会で報告があったが、国は正式な声明などを出していない。効く可能性があるものであれば、丁寧に治験して、正しいデータを出していき、安全性を確認して使っていくのが本当の医学だ。今はどちらかというと規制する動きになっている」。 また、制度の“抜け穴”をついたものだといい、「再生医療等安全性確保法が10年前にできた。自分の脂肪から取った幹細胞を培養して身体に戻す、あるいは膝の関節が悪くなったところに打つといった治療は、しっかりと規制している。しかし、ここまで来るとは考えられていなかった、細胞そのままではないエクソソームや幹細胞培養上清液といったものは法に入らなかった。それで今、認可を取らなくても安易にできてしまう」とした。
さらに、医師側の問題点もあげる。「売り込んでくる業者も、『今規制があるが、こんなに良い成分がたくさん入っている』と言って持って来る。そこで『データを見せて』などと言っても、企業秘密だから駄目だと。実は医者もわかっていなかったり、鵜吞みにして使っているところもある。美容医療業界は外科の先生と皮膚科の先生が中心で、外科は切る・貼る、皮膚科はレーザーやヒアルロン酸・ボトックスの注射などが主だ。その中で、“新しいものが正義だ”という部分があったりする」。 そうした上で、「本来は内科をきちんとやらなければいけない。例えば、“GLP-1ダイエット”が今流行っているが、これは糖尿病の薬として認可されたもので、ダイエットとしては認可されていない。もし何か副作用があった時、国の救済制度から外れてしまう。そういう説明が必要なのに、今はオンライン診療でバンバン出してしまっている。もう少し時間をかけて丁寧に、検査も説明もしっかりするのが内科なのに、すごくないがしろにされている危険な状態になっている」と警鐘を鳴らした。