人間より快適?「クルマ任せ」ではない自動運転の未来
加減速のコントロール
前方車両の速度変化に合わせてオートクルーズが行う加減速は、すばらしくスムーズだ。首が揺すられるような不快な加速度はほぼ発生しないし、もっさりもしていない。そこいらのサンデードライバーよりは確実に上手なコントロールだと言える。この加速度設定をプログラムした設計者は、加減速に対する明確な基準を持っているに違いない。 例えば高速道路の料金所で前のクルマに合わせて減速して行く時もスムーズな減速を行う。料金所が渋滞していても前のクルマについて行く限り、停止するところまで見事な減速を実現している。驚くべきことに、停止後2秒間は、再発進も自動で行うことができる。ノロノロ渋滞でのストレス低減効果は相当期待できる。 2秒経過すると、速度計の目盛にマーキングされているグリーンのクルーズ設定速度表示が白色に変わる。この場合は自動発進を行わないが「復帰」ボタンを押すことで再度2秒間のスタンバイに入る。前車が動き出す直前にボタンを押せば自動発進の予約ができるわけだ。 そのため停止していることに安心したドライバーが何か荷物を探したり、仮にスマホを操作していたとしても、自動的に発進するようなことはない。ドライバーが運転に注意を向けているかどうかはここでチェックされる。 ただし、注意が必要なのは前にクルマがいない場合だ。この場合、停止中の車両、あるいは大きな速度差がある先行車にそのまま接近していくと、クルマ任せに減速/停止することはできず、人間がブレーキを操作する必要がある。もちろん最後の最後には自動ブレーキが作動して衝突の衝撃を軽減してはくれるが、それはあくまでも被害の軽減という話でしかない。レーダークルーズはドライバーを煩雑な操作から解放して、より重要度の高い運転操作に専念させる仕組みであって、お任せ運転ではないのだ。 加減速に関する一連のコントロールは素晴らしく快適で、運転の労力の何割かを確実に軽減してくれる。頻繁に高速道路を使う人はもちろん、郊外の流れのいい一般道でも十分に実用に耐える。ドライバーが特徴をよく理解し、十分な注意を怠らないのであれば、都市内交通でも使うメリットはあると感じた。 もちろんリスクの要素が複雑になる市街地は、クルーズコントロールにとってあまり得意なシチュエーションではない。ドライバーがしっかりとリスク管理をしていることが前提となる。おそらくそのためだろうが、市街地でクルーズコントロールを使っていると、時おりクルーズコントロールが解除される。ドライバーがあまりにクルマに依存していると判断した場合は、一度意思確認をする仕組みらしい。この場合も「復帰」ボタンを押せば、再度クルーズモードになる。