不妊治療の現場から。体に負担をかけず自然に近い妊娠をめざす「低刺激周期」って?医師が回答
【Q】採卵時の痛みが少ないそうですが、なにか秘密があるのですか?
【A】細い採卵針の使用で痛みを軽減。そのため、全身麻酔の必要はありません ■阿部先生「太い注射針は短時間に多くの卵子を含む卵胞液を吸引できますが、太さに伴って痛みも増幅します。その痛みを極力抑えるため、従来の2分の1サイズの細い採卵針を使用。針の先端部分に特殊加工を施しているので、痛みや出血も軽減します。これにより全身麻酔の必要もなく、採卵終了後、約15分間安静にしたら、帰宅が可能です。」
【Q】培養室ではどのようなことをしているの?
【A】「受精」「培養」「凍結保存」など、技術を磨いた胚培養士たちが責任をもって働く場です ■阿部先生「卵子と精子を一緒にして、自然に近い方法で受精させる『体外受精』。精子を直接卵子に注入する『顕微授精』。そして、得られた受精卵を子宮に戻すまで大切に培養し、移植に備えて凍結保存するまでの一連の作業を行うのが培養室の仕事。胚培養士は、まさに裏方のスペシャリストです。」
【Q】着床率を上げるための工夫について教えてください
【A】受精卵である「胚」を最適な環境で移植し、着床率の向上をめざしています ■阿部先生「精子と卵子が受精した受精卵を『胚』といい、体外で一定期間、培養。そのあと、子宮に戻す胚移植を行いますが、このとき胚の状態と子宮内の環境が着床に適した状態となる相互のバランスが重要です。ホルモンバランスや胚の形態、発育スピードなど、胚と子宮内環境の評価を厳密に行うことにより、最適な条件で胚を移植。妊娠をサポートします。」
【編集長check!】患者サイドの気持ちに寄り添う取り組みがすごい
患者さん同士が共感できるノート 飲食ができるラウンジも用意 リラックスルームに置かれたノートには、不安や期待など患者さんの書き込みがいっぱい! それに対してスタッフがメッセージを書き添えていて、アットホームな雰囲気が伝わってきました。 「ここで治療してよかったと思える場所に」という院長の言葉どおりのクリニックでした。 ●阿部崇 先生 ●撮影/合田和弘 ●イラスト/丹下京子 ●構成・文/飯田由美(BEAM) ※本誌掲載の内容は2024年8月19日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。 監修 阿部崇 先生 PROFILE: Shinjuku ART Clinic 院長・生殖医療専門医。良好な卵子を効率よく獲得し、体への負担が少ない自然・低刺激周期治療を行う『加藤レディスクリニック』勤務を経て、2014年に院長に就任。 クリニックごとに、方針も設備も異なります「『不妊治療クリニック』へ突撃取材!」 #1 ※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2024-2025」
たまひよ ONLINE編集部